2017年3月5日日曜日

フィヨンの仏司法権否定は「民主主義」の危機 フィヨン離れは258人超「共和党」議員続出中

(パリ=飛田正夫 日本;‎‎‎05/‎03/‎2017-14:02:22、パリ06時02分)仏大統領選挙候補のフィヨン「共和党」(LR)支持を辞めてフィヨン氏の早期辞任を求めるフランス議員の数がこの3日間で258人超を数え続出中だ。フィヨン氏を支持する取り巻き議員の主要な側近が離脱してしまい、裸の王様同然になってしまった。フィヨン氏は国民の支持があれば仏裁判所から「起訴」(mis en examen)され「被告人」として3月15日の出廷を命じられたが、判決は国民が決めるのでると主張した。架空雇用の公金横領罪での起訴は裁判所ではなくて国民が仏大統領選挙で決めるのが民主主義なのだと発言した。その為に3月5日にはパリの人権広場と呼ばれるエッフェル塔前のセーヌ川を挟んだトロカデロ広場で、フィヨン支持の市民大集会を持ってこの裁判所に抗議すると、起訴が決った3月1日のフィヨン氏の記者会見抗議演説で述べられていた。ところがこの民主主義における司法権の独立を否定するフィヨン氏の発言に民主主義の危機を感じ始めた議員たちは、彼の元から離散したのであった。フランスは法治国家なので政治家が裁判所に口出ししたり、人民法廷を設けてそこで罪を裁く事は許されてない。三権分立の民主主義を尊厳することが求められている。この民主主義を否定した勝手な解釈は許されないと一般のフィヨン国民は考えている。「共和党」(LR)内でもかなりの極右派だと思われるモラノ議員でさえ、フィヨンが仏大統領選挙で勝利したらその後の5年間は思いやられる民主主義が危なくなると発言している。

3月1日のフィヨン発言直後の世論調査会社の結果ではフィヨン人気は三番目で19%。トップはエマニュエル・マクロン仏前経済相27%、2位が極右派系国民戦線(FN)25、5%のマリーヌ・ル・ペンになっていた。この世論調査の急激な変化もあってか多くの良識ある議員がフィヨン支持を放棄し始めたのであった。この傾向は今後も続きそうだ。「共和党」(LC)内部ではサルコジ派やジュッペ派の動きが活発になっていて、ポスト・フィヨンのプランBが論議されていて、サルコジは嫌っているボルドー市長のアラン・ジュッペ仏元首相の線が強まっている。
3月5日のトロカデロ広場での市民大集会では、これ以上の出血と批判を止める為にも裁判所抗議の横断幕や批判の小旗は出さないようにフィヨン側は自粛しているという。一方、パリ市長のアンヌ・ヒダルゴ氏は、フィヨンのやり方が政治的倫理の逸脱であって人権広場での集会にふさわしくないと見て、この開催を中止するように要望している。トロカデロ広場というのは戦後ここで世界人権宣言がなされ、人権違反に抗議する人達の集まる広場となった。フランスでの福島原発事故抗議集会などが開催された場所でもある。

フィヨン「共和党」(LR)支持離脱の主要な人物では、この人がいなけれフィヨンの2017年の仏大統領選挙運動は動かないとされるフィヨン大統領選挙総指揮官のパトリック・ステェファニニ氏も離脱した。フィヨンの金庫番やもいなくなった。ブルノ・ル・メール元漁業大臣、キリスト教派のクリスチャン・ブッタン氏、ランスの上院議員アルノー・ロビネ氏、など現段階でフィヨン離れは258人超を進行中だ。詳しくはリベラション紙などで特集を組んでいる。


【参考記事】
http://www.liberation.fr/apps/2017/03/compteur-lacheurs-fillon/
http://france3-regions.francetvinfo.fr/paris-ile-de-france/paris/anne-hidalgo-appelle-fillon-renoncer-au-rassemblement-du-trocadero-1207755.html
http://www.liberation.fr/france/2017/03/04/la-semaine-ou-francois-fillon-a-annonce-sa-future-mise-en-examen_1552822

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