2013年11月11日月曜日

パリの闇市場、無許可の商売と警察のイタチごっこ

パリの北東部に位置するビレット大通りの定期市場には魚・野菜のテントに多くの庶民が集まる。ここの市場は所場代を支払って公式なものだ。そこをベルビルの地下鉄の方へ少し歩いて行くと、別なタイプの闇市場が展開していた。(本文の初出 /公開日時: 2010年7月20日 @ 23:58  )

数人の警察はこのテントのある市場を突き抜けてベルビルの地下鉄のほうへ向った。
ベルビルの地下鉄駅近くでは何でも売られている。ビンの蓋や使用済みの乾電池から修理の必要な電気製品、自転車や時計、レコードや雑誌や古着、期限切れのカンズメや自家製のラビオリなどあらゆるものが商品になって現れる。ほとんとが個人や家族で大きな荷物を手に抱えてやってくるが、買い物用の手押し車を押してくる人も多い。もちろんここでは定価などは存在しない。売り手と買い手の交渉でいかようにもなる。
警察がやってくると誰かが知らせたようだ。闇の商人たちは広げた商品をいち早く大きな袋にしまい込んだ。この手際の速さが身を救っているらしい。遅れると大変なことになる。彼等は警察の姿が消えるとまた品物を広げる。そこにどこからともなくまた人々が群がってくる。これを日に何度も繰り返している。
これらの市場とは別に、丁度サンマルタン運河を挟んで反対側のモンマルトルの丘の下を南東から北西に走るバルベ駅のメトロの周辺ではタバコを売る青年達のグループがあった。彼等は何箱ものタバコを一度に所持していると現行犯で捕まるので、駅の鉄骨の梁の上に大きな箱を隠しておいてそこから売れると一箱一箱取り出して商売をしていた。鉄骨の梁は高い所にあるのだが青年たちは軽業師のごとくスルスルとよじ登ってはタバコの箱を取って来る。全く不思議な光景だ。
地下鉄の切符売り場はしまっていたが、彼等が切符を一枚一枚買わないかと言って乗客に売っている。もちろん幾分か値段は安いしまとめ買いすればさらに安くなりそうだ。売っている青年の周囲には多くの共犯者らしき人が見張っていた。警察だけでなく買い手も監視しているのだろう。写真は取れなかった。