2011年11月26日土曜日

サルコジの政治思想、「三面記事としての政治」

2012年春の大統領選挙を前に5年間のサルコジ政治の特徴をフランスの内外に振り返る。一言でいうと、「三面記事の政治」ということだ。つまり、これはメディアや統計や警察、司法を巧みに操作して人工的に政治を実現するという社会劇(テアトル)的なもので現実が不在になる危険性がある。



11月24日、仏国営ラジオ・フランス・アンフォは、もうすぐ14歳を迎えるところだったアニエスさんが性犯罪再犯者と見なされる青年の犠牲となったことで、メディアはこれを異常なまでに誇張して長期にわたる報道を続けたと指摘した。


これに関しそこには、「集団感情」「集団記憶」「民衆感情」「政治的な民衆支持」といったものを「凝結させる危険性」が指摘できると報じている。


こういうメディアの視点は重要だと考える。レティシアさんの事件やフロランス・カッセさんの事件を直ぐに思い出す人もいるかもしれない。クロチルドさんの解放の場合にはうまくいかなかったが広くみればこれでサルコジ大統領は人気の上がるのをまっていた。あるいはベッタンクールさん解放にみる民衆関心の凝結を政治の舞台に取り込むためにサルコジ氏の姿が登場してくる意味が理解できる。


ここではじめてロマ人や郊外移民、イスラムやテロリストなどの取り扱いと若いフランス人女性の悲劇を救う英雄劇というサルコジ政治の力学的な解釈が働いていることが理解できてくる。以下にその特徴が指摘できそうなものを過去記事からいくつか拾ってみた。




【コラム】レティシア、フロランス事件で仏大統領 解決無く火に油のスキャンダル追求 人権の重さに認識薄弱


サルコジ大統領は民衆の感激とか悲しみ苦しみを自分の政治に使う。本当は象ではなくて魔法使い。