2011年2月17日木曜日

利用されたメキシコ年 「仏女性フロランス・カッセさんに捧げる発言」で、サルコジ大統領を仏紙が批判 


2月16日のフランスの多くの新聞は、メキシコで60年の拘置判決をうけたフランス人女性フロランス・カッセ事件で騒ぐフランス政府とサルコジ大統領に対して、その論議の生産性の無さとサルコジの意図を批判した。今年の「フランスのメキシコ年」をサルコジ大統領は「仏女性フロランス・カッセさんに捧げる」との発言でフロランスの武器所持と子供誘拐事件という私人の事件を国家の問題に変換し、すり替えようとしたサルコジのやり方を多くのフランスの新聞が批判している。
2010年はフランスは「メキシコ年」で、サルコジ大統領は今年を「仏女性フロランス・カッセさんに捧げる」との発言をしてフロランスさんの武器所持と子供誘拐事件でメキシコに捕囚になっている個人的な事件を国家間の大問題に変換させて、問題の本質を摩り替えて見せた。こういうサルコジのやり方を多くのフランスの新聞が批判している。火に油を注ぐように介入し人々の関心をスティグマ化する危険なやり方が、もし意図的に行なわれた計画的なものであったのならば、それは若い女性の悲劇を利用した恐ろしい犯罪に値するだろう。

ニコラ・サルコジはまるで「陶器店に入り込んだ象のようだ」と表現し、「混乱を作り出すだけでなんの成果も無い」と書き立てた。

サルコジ大統領は2月14日、2011年の「フランス-メキシコ年」をフロランス・カッセさんの為に捧げると宣言し、科学的、文化的、経済的催し物がある度ごとにその会場でカッセさんを髣髴させる釈放要求の宣言をするのだと表明して自らもその演説に登壇したいと発言した。

これに対しメキシコ政府はもしフランスの態度が変わらなければ「フランス-メキシコ年」の参加を控えると発言している。

フランス通信(AFP)16日によると、ルモンド紙の論説委員はメキシコ側が「フランス-メキシコ年」を取りやめにすると発言することを、サルコジ氏は予想できなかったことでは無いだろうといっている。そして同論説委員はサルコジ氏は個別の問題(フロランスさんの子供誘拐と武器所持の問題)を、国家的次元での問題に変換してしまったのは正しいのだろうかと、疑問を提出している。

パリジャン紙16日によるとメキシコの作家のカルロス・フゥエンテ(Carlos Fuente)氏はサルコジの反応の仕方を指して「共和国バナナ農園主の独裁者」のようだと批判した。

「共和国のピレネー」紙は「サルコジは陶器店に入り込んだ象のようだ」と表現した。「モンターニュ」紙はサルコジを嘆いて、「まったく、わが国の外交は足が絨毯に絡まっている以上だ」といってフランス外交の失策を並べ立てている。「共和国の東部」紙も同様にサルコジの「ブルドーザーはむなしい戦略」だと批判した。