2011年1月30日日曜日

アイオマリ仏外務大臣に 「エジプトの独裁者とどんな会話が可能なのか?」と

30日の昼のフランス国営放送・テレビA2では、同局の意とは逆行するのであろうが、招待されたテレビ出演者からミッシェル・アイオマリ外務大臣(前内相、元防衛相、MAM)のエジプトに関する発言に関し指摘があった。それは「(MAM)は話し合いをするといっても、いったいエジプトの独裁者とどういう話し合いが民衆は可能なのだろうか?」というものであった。
独裁者とどんな会話が可能なのか?
25日から続くエジプトのムバラク大統領に反対する民衆のマニフェスタションは30日になっても収まらない。

28日になってようやくフランスを代表して アイオマリ外務大臣がエジプトのムバラク独裁政権下で苦しむ民衆の現状に関し口火を切った。

「すべての党派が話し合いをすることが、自由と民主主義を呼吸するために、唯一現状を良い方に変えるものだ」と発言した。

またMAMは「フランスはエジプトとエジプト人が好きだ」とし「エジプト政府のすべきことは現状に適応する方法を見つけることである」とも話していた。

1月14日のチュニジア革命の前の12日には、MAMはベンアリ独裁政権を支援する発言を議会でしてみせて野党側から批判されて辞任を迫られていた。

エジプトのムハンマド・ホスニ・ムバラク大統領は30年もの長期にわたってエジプトの政治を牛耳ってきている。チュニジアのジン・アビディン・ベンアリ大統領は23年も独裁政治をやってきた。たしかにこういう独裁者と会話が成立するわけがないのは確かである。

フランスがいうチュニジアやエジプトとの友好といってもそれは民衆側とではなく独裁者とのものであったのではないか。フランス政府の外交感覚にはどこか現実の民衆の動きとは大きな時間的乖離が感じられる。


(※)30日の昼のテレビA2で招待された出演者とはフレデリック・ルノワール(Frédéric LENOIR)氏で、最近「Petit traité de vie intérieure」という本を書いていて同テレビでも紹介されていた。

同氏は社会科学高等研究学院で博士号を取得し宗教事情の学際的研究センター所属の研究員。特に宗教関係の歴史家で社会学者であり哲学者である。また環境、小説、脚本、漫画などの部門でも活躍している。2009年9月からはフランス文化放送で精神性を扱った“ Les racines du Ciel  ”を担当している。