2017年11月3日金曜日

メラの協力者に20年と14年の禁固判決 隠される仏のテロ予防の手落ち

(パリ=飛田正夫)2012年3月に市民や軍人ら7人を連続殺害したモハメッド・メラ事件に協力したとして起訴されていたアブデルカデール・メラとフェッタ・マルキの二人にそれぞれ20年と14年の裁判所の判決が昨日11月2日にでた。この一連の事件でフランス中がテレビ報道に釘付けになって、イスラム国家テロリスト組織(IS)への批判と共にイスラムへの人種的憎悪が呼び喚起され恐怖と残忍性の中でナショナリズの右傾化が急速に進行していた。このメラ青年は18歳の時に1年8ヶ月を刑務所で暮らした再犯者であり、2010年にはアフガニスタンのカンダーラを訪問していて、2011年にはパキスタンに渡ってアルカイダと接触した。この事実を仏秘密情報局(DCR)は知っていた。そのために米国はメラ青年の渡米を禁止していたが、フランス政府はこれを知っていたにもかかわらず、サルコジの仏政府はこのメラを監視することをしなかった。危険な野獣が原野に野放しにされていたのである。

このメラ事件を知らないフランス人はいない。メラの兄弟は謝罪したがマルキは自分はメラ殺害事件での共犯の事実は無く無関係であると無実を訴えている。メラ事件ではフランス南部のモントーヴァンとトールーズでメラがユダヤ人学校を襲って子どもや教師らが殺害され軍人も殺された。


このメラ事件は難しい事件だ。メラ青年自身は2012年3月22日には200人以上の特殊警察がメラ青年のアパートを包囲し洗面所に閉じこもっていたメラを深夜になって射殺した。青年の左頭部に2発と腹部などに弾丸が貫通している。この射殺があったのは仏大統領選挙投票を一カ月後に控えた真っ只中で起こっている。(日本時間 ;03/‎11/‎2017 16:48)(仏時間 ;03/‎11/‎2017 08:48)


フランス国内での市民殺害のテロが起こるべくして起こったのであり、この青年を監視することをしなかったことで仏政府と警察が反テロ防犯の監視の不備を批判されていた。現在も、官製メディアはこれを縮小化して隠そうとしているようだ。サルコジ大統領の売り物のテロ対策であったはずだが、それを未然に防止しないでテロ殺害を許してしまったということか。トゥールーズとその近くのモンターバンでの3度に渡るメラ青年の連続殺害テロの犯行をなぜ未然に阻止せずに見過ごしたのか?が今回の裁判では本当は問われるべきであった。



裁判ではメラに対する最高期限の禁固要求が実現されなかったとしてもテロリストに協力したことが裁かれて告訴側は満足の意を宣言している。具体的な有罪証拠が乏しいとしてメラ側の弁護士は控訴する構えだという。