2011年1月25日火曜日

【コラム】 パリのグランパレ開催のクロード・モネ展終了 印象派を深夜に鑑賞?


パリのグランパレで開催されていたクロード・モネの展示会がこの24日で終了した。フランスの現代絵画を開拓し印象派を開始したクロード・モネ(1840-1926)の60年以上に渡たる画業の作品(1864-1926)が世界中から有名無名、さらには未公開作品など200点ほどが集められてモネの作風の変遷を辿る展示会で昨年末から開催されていた。グランパレでは深夜22時まで開館されて多くの人で賑わっていた。モネはわかり安く親しみのもてる画家のようで人気があるのだろう。パリジャン紙によると展示会の最終日曜日となった23日は朝3時頃からグランパレの前には子供も高齢者も冬の寒さが戻ってきた中で列を作ったという。しかし雰囲気は異様だがくつろいだものがあったという。私は印象派は好きだが深夜に見たいとは考えていなかった。その展示会の趣向が納得いかず出かけることはしなかった。
主催者側からの案内がサイトに載っていたので以下に少し拾ってみた。

同展示会監査委員のシルビー・パティさんはモネの絵を見ることに関し次のようにいっている。展示された絵は光もことなり別なものを発見できるし他の絵と比較できる。そのつど別の感じがあると。モネの絵の奥行きや多様性、力強さといった視覚を理解するためにモネの手紙の引用や簡単な説明もされているが、先ずはモネの絵の中に入ることであるという。

同展示会監査委員のリチャード・トムソン教授はモネは19世紀絵画での最も重要な風景画家であるいっている。モネは絶えず視点や作風が変化していて一箇所に停止している作家ではなかった。ノルマンディーのレトレッタの海岸ではそこを描いていたクールベの作品よりも良いものを描こうとしたし、また英国のテムズ川を描いたターナーの作品に競う作品を彼は描いた。友人のルノワールやロダン、また政治家や劇作家とも親交があったが、基本的には一人で仕事をした。モネは自然の雰囲気を見る特別の才能がありその感覚がモネであるといっている。

「クロード・モネ 水辺の生涯」(タランディエー書店)を書いたフレデェリック・マルチネ氏は特にベルエポックに関心がある。ベルエッポクは20世紀の前史で絵画やドビッシーの音楽など創造の時代で、19世紀を終焉させる激しい過度期の時代でもあり好きだという。同氏によるとモネは理論家ではなく、モネはアトリエを出て野外で速攻で、水のような不確かなものを描いては、また常に何かを探していた人であるといっている。睡蓮をテーマにして描いたのもそのためであったという。

展示会はどういうわけか夜遅くまで開館されている。夜の来館者も多いのは、昼の入場者が多過ぎるというだけでは理由になってない。それまでして深夜のグランパレでモネを見る意味があるのかどうか疑問に思う。

グランパレは1900年のパリ万博のために鉄とガラスで建設された外光を天井のドームから取り入れたものである。印象派はこの戸外の光の移り変わりを大切にした人たちでアトリエの中で描く絵が暗いのと対照的なものだ。

オルセー美術館でも最終階のフロワーに印象派の絵画が展示されている。それは天井からの自然光線を入れられるようにしてあるからだ。

入場料は1400円程度だが、夜の印象派を見るのではそれほどの価値はないと考える。個人的には長い間のグランパレでの展示か終わり、多くの作品がオルセー美術館に戻ってきて最良の条件下でモネの絵が見られることを喜んでいる。


以下のサイトはクロード・モネの作品を見るのに参考になると思う。

特にMonethttp://www.monet2010.com/fr#/galerie/はモネの理解に便利であって、印象派の特技である点描画法とかモネ独特の色の混ぜかたではなく並べ方がわかる。


サイトの画像には拡大と縮小機能がついているのでこれをフルに活用して、なんども繰り返しみると大きな発見がある。グランパレは人ごみで混雑し空間が無いために、恐らくはこうした鑑賞のやり方はできなかったと推測される。効した絵を前にしての近づいた遠のいたり、または角度を変えての鑑賞は困難であったと推測される。


このモネのサイトの中にある絵では、セーヌ川を前にルーブル宮殿よりパリ左岸の景観を描いた珍しい、オランダのハーグから来た作品がある。これはカイユボットなどがパリの街の風景を構成する街灯や窓の欄干などをテーマに独特の井戸を覗き込むようなパースペクティブで描いたように、モネ自身が自然の風景画だけでなく、パリの街の景観である広告塔とかベンチや荷馬車や人物などを形式化させたスタイルで匿名の世界を描いている面白いものもあった。

余り知られてない絵も展示されてたようで、当サイトは、私がグランパレに行かなかった罰として、これから何度か訪問を強いられることになりそうだ。



(参考記事)

La dernière nuit de l'exposition Monet ou l’Iliade du Grand Palais

Monet au Grand Palais : tarifs, horaires, accès, vidéos