5月10日、フランス現政権与党の国民運動連合(UMP)議員で欧州議会(EU)人民党(PPE)議長のジョゼフ・ダウル氏はフランスのサルコジ大統領とイタリアのベルルスコーニ首相 が主張するシュンゲン協定の見直し要求に対し厳しく欧州議会で批判した。これは4月末に欧州審議会に対し国境での移民統制措置の可能性を検討するように求めに対し同議員が批判したもの。欧州域内の物と人の自由な往来というシュンゲン協定は重要な欧州の基本的精神の一つをなしているものだ。欧州の尊厳、価値、原理、思想を尊厳すべきだとダウル氏は主張する。
欧州議会の多くの議員からも同氏の意見は大きな拍手で迎えられたと5月11日の「ル・ポワン誌fr.」は報道した。しかしダウル氏の意見が承認されるには欧州議会(EU)の承認が必要である。
ダウル氏の考えではアラブ諸国の革命によって生まれた状況に人道的に答えるだけでは不十分であって、欧州が地中海域の安定と発展にかかっているとの認識をもった北アフリカからの移民への取り組みが見られないことを批判したと見られる。
「アラブ諸国の春」でチュニジアやリビアからの移民が地中海を命がけでヨーロッパめざして渡ってきている。イタリア南部のランペドゥーザ島からヨーロッパへ移動してくるためにベルルスコーニ首相は自国だけでは受け入れきれないとして、イタリアに溢れる移民に欧州通行証を発行したがフランスはこれを認めずイタリア国境へ連行して押し戻していた。しかしこの違法移民の強制連行の仕方にはヨーロッパでは遵守されるべき人道的な扱いが必要だとされていて拘置の仕方も以前のようには行かなくなっていた。
(参考記事)
Les eurodéputés de droite veulent maintenir Schengen - Le Point: "leur pays"