2011年6月20日月曜日

サンテ・エミリオン地区=ボルドー「酒蔵建築」にプリツカー賞受賞の仏建築家ヌーヴェルやポルザンパルクが

サンテ・エミリオン地区のボルドーを代表する最高級ワインのシュバル・ブラン(白馬)のシャトーでは6月18日多くのジャーナリストを集めて新しい酒蔵の完成を祝った。37ヘクタールの畑は一等グラン・クリュの“A”にクラス付けされている小さな1960年のシャトーで、ここに1994年の建築賞プリツカー賞を受けたクリスチャン・ド・ポルザンパルクによるコンクリートと木とガラスの現代建築の酒蔵が建てられた。その100メートルほど近くの小高い丘には、これもプリツカー賞を2008年に受賞したジャン・ヌベールの設計によるシャトー・ドミニックがあり、そこにはワインのアサンブラージュ(混合)用の畑の区画だけある桶を置くことになるが、屋根テラス式の建築の屋上には太陽光発電システムを装備し400人が収容できる予定だ。これはこの地方の最近の主流な動きである太陽光・風力・潮力・地熱発電など再生性の自然エネルギーを利用するという持ち主でハイアット財団グループの創立者クレモン・ハイアット(Clément Fayat)氏の考えでもある。

プリツカー賞(Pritzker)はノーベル賞を模して1979年に作られた建築賞で創設者のジャイ・A・プリツカーの名前をとったもの。このハイアット財団が人類に意義ある建築や企画をした建築家に対し毎年授与される賞でノーベル賞と同じように賞金(10万ドル)と副賞のメダルが出される。日本では丹下健三、安藤忠雄、妹島和世、西沢立衛各氏が受賞している。

ワインと建築の関係では、ワインの品質は畑から来て手作業で作られるので、アトリエとしての作業場が広くなり仕事がし易くなった。どこにでもできそうなテクロノジー産業による酒蔵などは欲しなかったのだとシャトー・シュバル・ブランの責任者はいっている。

ポルザン・パークによる酒蔵は、カーブして波をうっている。屋根の上は植物が植えてあって散歩ができるという。どうもこの辺の石灰質の土地の伝統的な住居であるトログロディト(窟居)の現代的な表現であるらしいのだ。最良の建築家はいつもこの点を最大に考慮するのであって見た目には土地との違和感が全然起こらない現代建築だと評価されている。

酒蔵の内部は二層になっていて全部で5500平米あり、優雅な試飲室もある。下層には樽や桶が置かれている。

現代一流のフランスを代表する建築家のポルザン・パークといつも黒い服を着て黒い帽子姿のジャン・ヌベールによるボルドーはサンテ・エミリオン地区での酒蔵やシャトー建築で話題になっている。

ボルドーワインの畑には19世紀にはこぞって新奇なシャトオーが建造されて今もその姿が荒涼としたジロンド川左岸の畑地にひっそりと影をしのばせている。シャトー・ラトール、ロスチャイルド、コス・エストルネルなどだ。

気候の変化でフランスのブドウ栽培地の北上化が問題になっている。またブドウは水分がつくのを避けて洗浄をほどこさないために農薬害がブドウ酒に残り健康に大きな障害をのこしている。ビオのワイン生産もでてきたが、本当に必要なのは建築によるイメージの改良などではなくて目に見えないが本質的な問題に挑戦すべきではないのか。

(参考記事)

A Cheval Blanc, les chais prennent des allures de vaisseau avant-gardiste - LExpress.fr