2016年1月21日木曜日

仏内相が 宗派間の人種差別行為で キリスト教徒の他宗排除にコメント

(パリ=飛田正夫2016/01/21 4:08日本標準時)2015年は1月の風刺週刊紙チャルリー・ヘブド殺害事件に始まり11月13日夜に起きたパリの同時テロ射殺事件に至るまで多くのダエッシュ=イスラム主義国家組織(IS)によるテロが相次いだ。イスラム教徒らは自分たちはイスラム主義者(IS)とは違うと主張する中で、フランス人のイスラム教徒嫌いの行為は前年度比3倍の約400回に跳ね上がった。ベルナール・カズヌーブ仏内相は、フランスがキリスト教を歴史的な起源に持つ国であることは否定できないものだとしながらも、キリスト教徒でないものを排除することは許されない。彼等もまた我々の国の歴史に貢献してきたことを忘れてはならないとコメントした。テレビ(BFMTV)が書いているようにこれは稀な話しだが、同内相は仏共和国の政教分離(ライシテ)の精神をわかりやすく話していると思える。フランスに於ける宗教集団間の対立が問題になってきているようだ。

カズヌーブ仏内相は、20日にキリスト教系の新聞La Croixのインタビューに答え、大要次のように傾向を要約して話した。それによると、2015年では全体で反ユダヤ主義の行為(actes antisémites)は5%減少したが、しかしながら依然として805回の行為が数えられている。フランスでの反キリスト教徒の行為は810件で、欧州共同体で最多を記録し前年度比20%増となっている。カズヌーブ仏内相は宗教を担当する大臣としてこれは許されないもので厳しく取り締まると発言した。

イスラム嫌いの仏国監視団体の責任者アブダラ・ゼキリ(Abdallah Zekri)氏はイスラムは仏共和国の価値に一致しているのであるから、イスラム嫌いの行為を見つけたら糾弾していく闘いをしなければならない。これは総ての宗教に対していえる事だとも話した。

非常に興味深いのは2015のイスラム嫌いの行為では、その半数以上は、年初のチャルリー・ヘブドとユダヤ人商店での襲撃事件の後の3カ月に記録されたものだが、11月13日のパリ同時テロ射殺事件の後では非常に低くなっていることである。日本のジャーナリズムなどもイスラムのマホメッドを批判するからテロでやられるのだなどと血が頭に上がった発言がなされていたのが記憶される。フランスでは2005年以来800件を超える人種差別的行為が記録されたのは、2009年と2014年だけでいずれももイスラム-パレスチナの闘争と関係している。