アニエス･サール氏はチュニジア生まれの仏高級官僚で、ポンピドーセンター館長や新設の国立図書館の館長も勤めた。彼女はマチユ・ガレがラジオ・フランス局長に就任したために、その後釜に2014年4月に任命になった。
ジャンセニストは一言でいえばカトリック教会とプロテスタント教会の中間的な教派で、17世紀にオランダのヤンセンが始めた。ジャンセニストの考えはフランス人のカトリック観に近いともいわれ、ラシーヌやパスカルが、私の住んでいる近くのポール・ロワイヤル修道院に来ている。17世紀にルイ14世のカトリック中心主義で弾圧され廃墟となったのが、パリに移ったポール・ロワイヤル修道院に対し、現在のヴィラージュ・ポール・ロワイヤル修道院として残っている。
アニエス･サール氏がINA所長に就任した2007年というのは、サルコジ氏が仏大統領選挙に勝利した年である。2015年5月6日の政治暴露専門紙カナールアンシュネによると、仏大蔵省経済･財務調査局(CGEFI)の調べで、マチュユ・ガレ「ラジオ･フランス」総局長の立場で多くの一般公示に付さない内輪での温情主義による「不正取引」契約があり、その総額は数百万ユーロ(約9億円)を超えるという。
「不正取引」の中には、サルコジ前大統領就任の2007年から2012年にかけて、エリゼ大統領官邸の巨額な公費を使っての、フランス国民を各方面から調査したものがあった。これは一般公示なしで、側近の世論調査会社が受けもっていた。オピニオン・ウェー(Opinion Way)世論調査会社を独占的に使用(25万ユーロ/約3750万円)していたもので、「エリゼ官邸世論調査事件」と呼ばれているものだ。このオピニオン・ウェーとマチュユ・ガレ総局長との関係が出ている。
マチュユ・ガレ「ラジオ･フランス」総局長の渉外諮問員というのがデニス・パンゴー(Denis Pingaud)という女性で、彼女は世論調査会社オピニオン・ウェーの副社長でもあった。
マチュユ・ガレ氏がフランス国立視聴覚研究所(INA)所長の時代に、公示に付さない「不正取引」契約は、「カナールアンシュネ」によると80万ユーロ(約1億2千万円)に上るという。
ガレ氏はこれを否定していて「カナールアンジュネ」が嘘を言っていると反論している。「公金横領罪」はフランスの法律では10年の禁固刑と15万ユーロ(約2250万円)の罰金となっている。
【参考記事】
http://www.lemonde.fr/societe/article/2016/04/15/frais-de-taxi-3-mois-de-prison-avec-sursis-et-3-000-euros-d-amende-pour-l-ex-directrice-du-centre-pompidou-agnes-saal_4902711_3224.html
http://www.franceinfo.fr/actu/justice/article/agnes-saal-trois-mois-avec-sursis-pour-ses-frais-de-taxi-au-centre-pompidou-782511
http://www.liberation.fr/direct/element/quand-agnes-saal-promettait-une-gestion-janseniste-de-lina_5849/
http://www.lopinion.fr/edition/politique/facture-agnes-saal-ancienne-directrice-l-ina-six-mois-suspension-93975
http://www.lesechos.fr/politique-societe/societe/021844492520-frais-de-taxi-la-deuxieme-condamnation-est-tombee-pour-agnes-saal-1214273.php
