2011年2月1日火曜日

カラチ仏人殺害テロ裁判 レオター元仏国防相発言 バラデュー派へのレトロ・コミッション疑惑は否定できず

1月31日、フランソワ・レオター元国防相はカラチ仏人殺害テロ事件担当のルノー・バンリュインベック判事を前にパリ裁判所で「ジャック・シラク前大統領が武器契約でのコミッション停止を決めた」と発言。この1995年の停止は起爆剤で、カラチでのフランス人11人殺害テロとは深い関係があるとした。また、この停止は右派政党内部の争いの結果だとしている。コミッション支払いの停止決定がテロ事件の根拠だとして、そのことからバラデュー元仏首相派とシラク前大統領派との兄弟喧嘩が唯一、コミッション停止の原因で、フランス側への見返り手数料(レトロ・コミッション)がなかったと否定することにはならないと見られている。

1994年のアゴスタ潜水艦の売り込み契約にレオター氏は関係していた。バンリュインベック判事はレオター氏が総てを知っていると睨んでいる。
コミッションといっても2つある。1つはフランスの武器販売相手国側に対してコミッション(賄賂)を支払うことは当時は合法的でありこれは裁判の対象にはない。しかしフランスがカラチ政府へ贈ったはず(合法)のコミッションがカラチには届かずに仲介人からフランス側の契約関係者にルクセンブルグなどの銀行(N.S ニコラ・サルコジが開いた口座)を介して当時のバラデュー元仏首相派へ送り返されたとの疑惑のあるコミッションの流れを見返り手数料(レトロ・コミッション)といって使い分けしている。レオター元国防相の今回の証言でもって、この見返り手数料(レトロ・コミッション)の存在がさらに強化されたわけだ。
「エックスプレス.fr」によると、パリ控訴院はレオター元国防相の出廷の数分前に、フランス政府とパキスタン政府との間の武器契約での汚職疑惑に関する家族側の指名質疑の拒絶を宣言した。

しかしこのことでもう一方の、カラチ事件担当のバンリュインベック判事の財政面での調査が閉ざされたわけではないとしている。

31日のレオター元国防相の出廷質疑は5時間後の19時頃に終了している。そのためか夜のフランス国営放送・テレビA2では一言も報道されなかった。

しかし同A2では、ヨーロッパエコロジー・緑の党(EELV )のエバ・ジョリ欧州議員が前大統領婦人ベルナデット・シラクさんの夫のことで「健康が悪ければ法は人間のことなので出廷は強要してはいない」と発言したことのみを報道した。

しかしこの31日の朝には「ラジオFrance Info」に出演したエバジョリさんは、司会者のラファエルさんのマイクの前で、シラク前大統領の健康に関しても確かに話しをしたが、この日の午後に予定されていたサルコジ大統領が関係すると見られるカラチ仏人殺害事件での見返り手数料(レトロ・コミッション)疑惑のパリ法廷に関しても話したのであった。元判事として専門家の立場から非常に大事な話をしたのであったが、このエバジョリさんの発言は夜のA2は伝えなかった。(このことは、以下の【関連記事】に書いておきました)