福島原発事故が起こった直後の3月16日に当時仏原子力産業のリーダーであるアレバの社長であったアンヌ・ローベルジョン社長は、記者会見して、第三世代の「欧州加圧水型原子炉(EPR)であったのならば、福島の放射能の漏れは避けられたのではないか」と話していたが、それはやはり確実ではなく耐久不可能であったことがドイツの原子力の専門家ヘルムート・ヒルシュ(Helmut Hirsch)教授の研究報告を7月25日にグリーンピースが公表したことで明らかになった。
エックスプレス紙などによるとヒルシュ教授の研究はエコロジストのグループの依頼によって実現したもの。原子力界の先端をゆくアレバ社による第3世代の原子炉でも24時間以上の電源切断を予定して設計されてはないことがわかった。しかしこれに対し25日、 エリック・ベッソン仏経済・産業相はラジオ・フランス・アンテールで「この研究報告にはどんな信用性もない」と批判し、「EPRは世界で最も確実な原子炉といえる」と答えている。両者の見解に大きな開きがでた。
現在建設に遅れが出ているとされるノルマンディ地方のフラマンビル原子力発電所の欧州型加水炉(EPR)はヒルシュ教授の研究から、環境擁護団体グリーンピースでは福島原子力発電所で起きたような11日にもわたる長期の停電に耐えられないとして、これまでの第二世代の原子炉とEPRとの安全性の面での進展がなく不十分だとしている。EPRだからといって確実に安全ではないことが少なくともわかった。
福島の教訓の第一は基本的緊急システムにおいて電気の供給が途絶えて原子炉が停電した場合に原子炉が脆弱であったということだと教授はいっている。
アレバで側では現在の原子炉には2つのジーゼル発電機が設置されているが、故障の場合を想定して補助用にあと2台を付け加えるといっている。しかし放射能の漏れがひとたび起こればそれは故障の確率の問題ではすまなくなるはずだ。
アレバ社の大株主はフランス原子力庁CEA(Commissariat à l'énergie atomiaque et au énergies alternatives)で73%を持つ。フランス政府は10.2%。クエートが4.8%、フランス電力(EDF)が2.2%となっている。
【参考記事】
http://basse-normandie.france3.fr/info/epr-de-flamanville--la-surete-mise-en-doute-69810382.html
EPR de Flamanville : la sûreté mise en doute
EPR : les risques sous estimés !
http://energie-climat.greenpeace.fr/epr-les-risques-sous-estimes?epslanguage=fr-FRhttp://www.lexpress.fr/actualite/environnement/nucleaire-l-epr-n-est-pas-une-necessite-nationale_1014889.html