2013年11月12日火曜日

オルトフゥ仏法務大臣の人種差別発言に仏社会党や緑の党が辞任要求

フランスのブリス・オルトフゥ法務大臣(前移民省大臣)が6月4日、「人種差別」の「侮辱罪」で750ユーロ(約9万円)の罰金と2000ユーロ(約24万円)の損害賠償を宣告された。ブノワ・アモン仏社会党スポークスマンはオルトフゥ法務大臣の辞任を要求して、「大臣は手本を示すべきだ」、「尊厳とは先ず謝罪すること、次には、辞任することである」との考えを述べた。セシル・デュフロ緑の党フランス国書記長は5日にパリで開催されたヨーロッパ・エコロジー集会の席上で、サルコジ政権の最重要大臣の一人であるオルトフゥ法務大臣が人種差別で判決をうけることは理解がいかないことだ、辞任すべきだと発言している。日曜新聞(JDD 2010年6月6日 土曜版)やリベラション紙が伝えている。
(本文の初出 /公開日時: 2010年6月6日 @ 16:12 )

事件は昨年9月バイヨンヌ近くのセゴノスで開催された与党国民運動連合(UMP)の夏期講習会の折に、一見してマグレブ出身だとわかる背の高い青年党員を前にして、ジャン・フランソワ・コッペ与党(UMP)衆議院会長が笑いながら二人の間に入って話し、オルトフゥ法務大臣に青年を紹介している中で、法務大臣はこの青年を前に、「いつでも一人は必ずいる。一人のときは、よい。大勢いるから問題が起こる」と、話した。

しかし大臣のボソボソと口篭って話す言葉は低いトーンで語られている。周囲の党員の歓声や話し声が沸き起こっている中での話だ。アラブの青年との論議というのではなく、オルトフゥ大臣の話は一方的に投げかけられた言葉であったようだ。大臣の話は笑ってはいなかった。これが事件当時からテレビやネットに流れていた。

つまり、アラブ人が一人ならよいが、大勢いると問題が起こる、ということであったらしい。もしそうであれば、人種差別の視線を感じないわけにはいかないだろう。

この問題が重大なのは、サルコジ大統領がオルトフゥ氏のために創設したといわれる移民省の大臣の立場にあった人の発言であったからである。人種差別に先頭を切って闘わなければならない人物が、それに逆行する言葉を口にしたということになってくるので大問題なわけだ。

フランソワ・フィヨン首相は、友情と信頼をもって法務大臣を支持し続けると発言した。法務大臣はコメントは述べずに上訴を提出した。

フランスの移民政策を語るうえで政府の根本的な姿勢が象徴された事件である。同法務大臣と裁判所との見解の争点が今後の焦点になる。フランスの移民問題のニュースとしては最重要事件の一つだ。

(参考記事)
左派はオルトフゥ法務大臣の辞任を要求 日曜新聞(JDD 2010年6月6日 土曜版 6頁)
緑の党フランス国書記長は、オルトフゥ法務大臣は辞職すべきでは(リベラション)
http://www.liberation.fr/politiques/0101639777-duflot-hortefeux-aurait-du-demissionner-cohn-bendit-c-est-le-probleme-de-sarkozy
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