左派系の週刊誌ヌーベル・オブセルバトワールのために調査会社LH2が行なった世論調査が7日に発表されたことで、同日朝に出ていたパリジアン紙(調査会社 BVAが行なった)の世論調査を分析した見方に大きな誤解を生む危険性があったことが危惧される。サルコジ の人気が実は民主主義の手続きを無視した中味の薄いものであったこと、フランス国民はこれを危険なものであると感知していて嫌悪していたのである。オルト フー前内相の主張であるサルコジには国民運動連合(UMP)の党内大統領候補者選挙(プリメール)は必要ないという民主主義の手続きを無視した主張に対し て、フランス国民の10人に8人(78%)が反対し、同党支持者でも67%が反対していることがわかった。
アトランティコ(atlantico)は、7日に出たパリジアン紙(調査会社BVAが行なった)の世論調査を分析して、いずれにしてもサルコジ前大統領の 支持母体である国民運動連合(UMP)の党員はサルコジを支持しているといっている。そしてサルコジの政治舞台への復帰はより明確になってきていると主張 した。しかし優秀なUMP党内の若手大物議員などは、サルコジのビグマリオン(Bygmalion)事件での汚れた金銭事件に疑問を持っていて、サルコジ に反対する意見が上がってきていた。
パリジャン紙は7日の誌面で、極右派の国民戦線(FN)のマリーヌ・ル・ペンに勝利できるのはサルコジ前大統領しかいないとフランス国民は見ていると世論 調査の結果を上げて論じた。このような論調を伴奏にして、オルトフー前内相の主張のように、サルコジにはUMP党内で大統領候補を事前に選ぶ大統領候補者 選挙(プリメール)は必要ないという、民主主義の手続きを無視した意見が正当化されようとしていた。
6月6日のノルマンディ上陸作戦70周年記念式典は、英国エリザベス女王、オバマ米大統領やロシアのプーチン大統領、ウクライナの新大統領など世界からの 来賓を集めて、オランド仏大統領はほぼ完璧な運営を成し遂げた。世界の和平を一歩進めることになった、好評だと左派系知識人を多く読者に持つ リベラション紙などは評価していた。
パリジャン紙を支持していると思われる「アトランティコ」の分析では、UMP党内大統領候補者選挙(プリメール)もあるかどうかわからないがとしながら、 フランス人の希望しているのはアラン・ジュッペ元首相で23%と一番多い。サルコジの人気14%はこれには遠く及ばないとしている。
そして「アトランティコ」は、しかしながらとして、UMP党内の人気ではサルコジがトップの25%を獲得。ジュッペの17%、フィヨン元首相の12%をしのぐ勢いだといっている。
「アトランティコ」は、そして次に、極右派の国民戦線(FN)のマリーヌ・ル・ペンに勝利できる大統領候補者はフランス人では、サルコジが77%、ジュッペは65%でフィヨンは74%だという。
「アトランティコ」は、調査会社BVAの社長セリーヌ・ブラック氏の意見をあげて、ジュッペとラファランとフィヨンの3首相の支持率をあわせても、サルコジには及ばないといことらしい。
このBVAの世論調査及び分析には3つの重大な誤りがあると思える。
一つは国民運動連合(UMP)の党内大統領候補者選挙(プリメール)の開催を時期的に尊重して ない世論調査及であった。むしろそれを軽視させるためのものではなかったかということだ。
二つめは、質問の仕方だ。マリーヌ・ル・ペンに勝利できる大統領 候補者としてUMP議員の中での選択枝という限定があったのではないかということだ。対ペンの場合には与野党連合での対抗候補者も考えられるがこれは除外 視されている。
三つめは、この調査のなされた日と発表された日である。6月6日の直後であり調査が何のためになされたものかが伺われるからだ。
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