2014年9月21日日曜日

【コラム】「変わった」「変わった」は、自己嫌悪からくるサルコジの変身願望

▲世論調査は　サルコジの変身願望と自己嫌悪の証拠

サルコジが2017年の仏大統領選挙候補に名乗りでた。選挙はまだまだ先のことだが気の早い新聞が仏大統領選挙の決戦予測の世論調査まで出して騒ぎだしている。サルコジの側近はサルコジは「変わった」「変わった」と騒ぎたて、以前とは違うと喧伝している。しかしその変わった内容に関しては何が変わったのかを、そして何が変わらなかったのかを明かしてはいない。それどころか、「バックミラーは見ないで、前を見るべきだ」とか、「(過去の)ページをめくる」ことを大声で主張している。そのわけは、サルコジが過去に山積みして残してきた権力濫用や公金疑惑をフランス国民が詳細に知ることを恐れ嫌っているからだ。今回の「パリジアン」と「今日のフランス」のための世論調査とは、こうした十も二十も「変わりたがっている」変身願望のサルコジが自己嫌悪に陥っているという証拠でもある。

▲サルコジの「何が」変わり、変わらなかったのかを問うべき

選挙はぎりぎりの土壇場で逆転することもある。まだ3年先の予測などをして、いったいこの世論調査は何のためなのか不思議に思える。それに「変わった」とか「変わらない」といっても具体的に何を指して質問しているのかは回答者によりその受け取り方はまちまちであろう。サルコジの裁判沙汰がいくつもあり解決されてないことは知らない人も多いのだから、それに対するサルコジの態度が「変わった」とか「変わらない」とかいうのであれば、すこしは面白い調査になったのだと思う。しかしこの世論調査は何を意図して行われたのかその辺で胡散臭さが漂っているように思える。

▲タイミングはずれの質問の意図

こういう意味から面白いのは、「パリジアン」と「今日のフランス」がOdoxaという世論調査会社を使って2012年以来サルコジは「変わったか、変わらないか」という時期はずれな変な質問調査を9月19日にしていることだ。そのなかで、フランス人全体では67％が変わった。33％は変わらない。左派の人では変わったは13％で、変わらないは86％だ。右派の人では変わったは48％で、かわらない52％だといっている。

▲統計数字には意味のない世論調査の別な目的

これでわかるようにこの世論調査での数字には意味がないように思える。数字ではなくて問題は「変わったか、換わらないか」なのである。個人が質問を受けるときは感情の意識や感じ方を質問されているわけだが、世論調査の結果ではこの意識感情はすべて数字に変換されて具体化されることを狙ったものだろう。個々人の意識内容には差異があるのだが、それが収斂された回答として作り出されるのである。世論調査にはそういう落とし穴があるはずだ。これが様々に逆用されれることもあるかもしれない。

したがって、左派および右派に対して、2012年以来でサルコジの「何が」変わったのですか、「何が」変わらなかったのですかという質問をする必要があると考える。

▲たとえば、サルコジの「変わった」ものとは？

サルコジは2年前も今のサルコジも同じ人物であるはずだ。変わったのはサイクリングをやめてマラソンスタイルになったことだと答える人がいるかもしれない。また、そのマラソンにしても前よりも太って腹が出っ張っていて重そうに走っているようだと最近のテレビでの映像を見て答える人がいるかもしれない。あるいはカラチやアジベール判事を動かしてベッタンクール裁判の秘密運営情報などを手に入れていた権力横領など今でも解決してない疑惑を指して、前と何も変わってないと答える人もいるだろう。

ようするにサルコジのアピールスタイルの変化や無変化とは関係なく、同氏の過去の罪や褒賞の重要なものまでが変化して無に帰したということはないはずである。これらを混同させることになってはいないかと心配するのである。過去の借金が返済もせずに０に「変わっている」ということはないはずなのだ。「変わった」「変わらない」だけではその借金がすべて吹き浮き飛んで無くなってしまうことになり、こんな調子のいい手はないことになるであろう。

ラジオフランスアンフォの政治記事責任者のマリー・エヴ・マルゥーインは「サルコジはかわらない。サルコジの目標が変わったのだ」とサルコジ派の先走りを同ラジオで弁護している。まるでサルコジのスポークスマンのようなのだ。テレビもラジオもフランソワ・オランドの先週の大統領官邸エリゼ宮殿でのジャーナリスト記者会見以降、特に国営放送の政治ニュース番組に偏向的な報道が目立っているように感じる。それは先週の大統領官邸エリゼ宮殿でのフランソワ・オランド大統領への記者会見である女性のジャーナリストが質問し、サルコジが任命したフランス・テレビジョンの総局長について質問があったからだ。もちろんこれは今も解任されずにいるが、オランドは自分はジャーナリストやメディアの任命はしないそれは視聴覚審議会がすると話している。したがってまだ解任されないでサルコジに組し続けているメディアがいて反撃にでているのかもしれない。

下記のネット統計は絶えず毎日変化しているものらしいが、この時点での統計情報だ。「パリジアン」と「今日のフランス」の読者に対するもので、あなたはサルコジが右派を糾合できるか？という質問である。

この時点で下の統計をいうのならば、右派を糾合できないサルコジは2017年の仏大統領選挙には勝てないということになるだろう。

Pensez-vous que Nicolas Sarkozy peut rassembler la droite ?

OUI

37.5 %

NON

62.5 %

Publié le 19.09.2014, 18h52

http://www.leparisien.fr/politique/pensez-vous-que-nicolas-sarkozy-peut-rassembler-la-droite-19-09-2014-4148703.php

【参考記事】
Retour de Sarkozy : ça ne change «rien», assure Valls

Publié le 20.09.2014, 16h07 | Mise à jour : 18h22

http://www.leparisien.fr/politique/retour-de-sarkozy-ca-ne-change-rien-assure-valls-20-09-2014-4151003.php