2015年11月25日水曜日

読者を騙すメディアの主張には御用心

11月13日夜に起きたパリの同時テロ射殺事件で、一部のメディア報道でフランスのシリアのダエッシュ・イスラム主義国家組織(IS)への空爆を批判する声があるが、そのやり方に偏向があるようだ。14カ国の国籍を持つ無辜の市民が機関銃で射殺されているのに単なるパリ郊外の暴動事件のような理解をしたがるメディアを装った不可解な発言があるようだ。私個人はロシアのプーチン大統領がイスラム聖戦主義者のテロを積極的に攻撃しないで、シリア国内の反アサド市民陣営を攻撃し独裁者アサドを支援していることは理解が行かないことだと思っている。そういう中で、認識が全く逆の発言があるのは当然だとしても、事実を歪曲したり隠したりする報道のなされ方には、反対したいのである。

2010年12月17日にアラブ世界の民主化への先駆けにチュニジア政府の不正に対して野菜行商で家族の生計を立てていたチュニジアのブウアジジ(Mohamed Bouazizi)青年が行商の証明書がないことから野菜や果物が乗った車を差し押さえにされてしまった。青年はこれに抗議し、焼身自殺をはかったことから「アラブの春」がマグレブに開始された。このベンアリ大統領の独裁に抗議しての民主化がチュニジアから始まったが、それがイスラム世界へ広がることをシリアのダエッシュ・イスラム主義国家組織(IS)は甚だこれを嫌っているのである。

「読者を騙すメディアの主張には御用心」というのはそのような事実を隠すメディアの横行は良くないと思うからである。私も少なからずブログを書いていますので、私自身に言い聞かせていることなのですが、先ず第一に、嘘は書かないということです。誤りは気が付かないこともありますが、これは嘘を意識的に書くのとは異なります。

11月13日夜に起きたパリの同時テロ射殺事件があり、翌日14日に犯行声明が出ました。この犯行声明はづっと後になされたと嘘の主張をしている論文もあったりしている。また130人も殺害され機関銃掃射があり、腹巻爆弾が爆発しているのに、やり方が素人的で武装したテロリストだとは言えないなどというオランダ人の論調などもあります。よく読むと事実認識に嘘があったり誤解があることがわかるのです。ちょっと読むと本当かなと思ってしまう論立です。すぐには分からないことが多いのは当然です。

わたしがちょっと心配だと思ったのは他人事ではないのですが、確かに技術的な誤認という場合や単純なミスもあるのですが、どうもそうではない記事というのもあるようです。騙している真実を伝えたくなくて書かれた記事というのが最近は特に目につくのです。外国の事件でもあり外国語からの転電記事だから、勝手な解釈を事実視させることが容易なのだということなのでしょう。

これを見定めるための、一つの目安としては、事件がどういう内容であるかを判断するのに、複数の情報源を持っているのか、その情報源は確実な所からきているのか。さらには、確実で信頼できる新聞社や通信社からの情報源であっても、論を立てんが為に、都合の良い部分的な切り抜きや引用がなされている場合などは、引っかかり易いようです。こういったことが事実の判断には、我々読者側としても大事だろうと思えます。また、もっと酷いのは書き手が実在しない場合もあり、書き手の署名が無く、名前は偽名であり媒体メディアやテレビ局は幽霊であったりする場合もあるわけです。

これはメディア名に名を借りて、視聴者や読者の「目潰し旗」を振っていることで、わかる場合もあります。そういう悪質なものを見抜くのもメディアと付き合う楽しさではありますが、騙されることは騙すことと同様に愚かな結果を生むでしょう。