2016年5月11日水曜日

オーストリア首相が社会民主党の党首も辞任 大統領選挙前に大論議

(パリ=飛田正夫2016/05/11 17:25日本標準時)9日にヴェルナー・ファイマン(Werner Faymann)オーストリア首相が辞任し社会民主(SPÖ)党首も辞めたことに関し、オーストリアのメディアではファイマン首相はSPÖの支持を失ったことを理解したのだと見ていると、10日のクーリエ・インターナショナル紙が報道。同紙の報道によると、オーストリアの中道左派系の新聞では、5月1日のメーデーでの講演で組合から公衆の前で「ヴェルナーを捨てよ!」「貴方は、政府や党の長であることは不可能だ」などと野次が飛び批判されていたという。独立系新聞のディア・スタンダード(Der Standard)紙は、社会民主党(SPÖ)がこれまでの20ほどの選挙で、その18までが、地方選挙であろうが、議会選、欧州議員選挙であろうが後退していると指摘している。それを表現したのが先月4月23日のオーストリア大統領選挙の第1次投票で、極右派系の自由党(FPÖ)のノベール・フォフェー( Norbert Hofer)氏がトップになったのだと結論している。

中道右派新聞のプレッセ(Die Press)紙では、ヴェルナーの後継者は党からではなくて実業界からの方が良いと指摘し、ドイツのモデルのように、国境の安全対策と難民受け入れを厳しく取り締まって行う方向で、極右系の自由党(FPÖ)と区別するのがよいとしている。


週刊誌プロフィール(Profil)は、この難民危機がブエルナーの終焉を決定づけ、大統領最終決定までの、首相も社会民主党(SPÖ)党首もいない非常に厄介な状態になって、大統領選挙に勝つことは困難だとみている。


極右派系の自由党(FPÖ)のノベール・フォフェー( Norbert Hofer)は第1次投票で35%を獲得。その対抗候補は無党派の元エコロジストのアレクサンダー・ヴォン・ディァ・ベレン(Alexander Van der Bellen)で投票率21,3%だった。


5月22日に予定されているオーストリア大統領選挙の最終投票では、フォフェーの勝利が予測され、これがヨーロッパ初の極右大統領の誕生となりヒトラーを生んだ国とイメージが重なっているためか、欧州共同体を震撼させている。