2017年7月12日水曜日

仏のカトリック教会 ラテン語のミサ祭儀復活に慎重論議

(パリ=飛田正夫 日本時間;‎‎‎12/‎07/‎2017-13:12)フランスのカトリック教会はラテン語でのミサ祭儀の復活に関心を持っているという。フランスではこのラテン語による祭儀が自由化されてからは、これを行う教会は124カ所から230カ所と増加しているらしい。バチカンⅡ宗教会議での決定に反してラテン語テキストでのミサ適応には慎重な態度で、名前を出してこれを主張する僧は少ない。しかし一方で若手の僧侶らにラテン語によるミサが魅力的だという声もカトリック報道紙「ル・コワ」では紹介。実際、この二つの祭儀が一つの教会で前後平行して行われることは、教会は一つという考えに大きく反することになるだろう。ラテン語のミサ賛成派と反対派がイデオロギー的な対立はないとしても対立が強く存在することを伺わせる。教会側にはこれがフランス語・ラテン語と二重祭儀の慣行化に繋がる事を危惧する者もいる。キリスト教系新聞のルコワによると、これがバチカンⅡ宗教会議の当時から見ると、特にそれほど論争的になっているというわけではないと報道している。



ここには教会の信徒服従の伝統に反抗する共和国フランスの民主主義という対立図もあるようだ。まじない事ではないにしても外見の祭儀を変えることが騒がれても、カトリック教会の司祭や僧侶がぺドフィル(未成年者への性愛犯罪)で世間を騒がせている事の方を何とかしなければならないと心配する声もあるだろう。カトリック信徒の心を揺るがせているのはもっと深い信仰の問題なのである。

宗教的礼拝儀礼のミサ(messe)を昔の様に信者に背を向けてラテン語で行うことが現在再びフランスのカトリック教会で論議されている。現在のミサの在り方はフランス語でなされている。司祭は信者側に向いて話す。この宗教儀礼の新しい形態はバチカンⅡ宗教会議(1962年~1965年)で圧倒的多数で決まっていた。

今から10年程前の2007年7月7日に、ベネディクトXVI世がローマ時代のラテン語による宗儀を重んじる人々へと手を差し伸べて、1960年代以前の古いラテン語による祭儀を行ってもよいとした。

フランスの昔の教会は信徒が伝統宗儀に従っていて幸せだったという意見もある一方で、これを理解しない人々からはベネディクトXVI世の発言は動揺と逸脱だと指摘する声も起こっているという。

フランソワ教皇は3月4日、400人以上を集めバチカンで開催された国際宗教音楽会議の参加者の前で、ラテン語でのローマ時代のミサが現代化に遭遇しそれが行われなくなって、各国の話し言葉で行われるようになったことを残念がる発言をしていた。しかしラテン語へのノスタルジー的回帰を避け、宗教音楽の質的再新と現代の流行音楽を使った対話の中で信徒と心を結び合うために将来の司祭の音楽育成を教皇は教会に呼びかけたという。

【参考記事】
http://www.la-croix.com/Religion/Catholicisme/France/En-dix-ans-messe-latin-trouve-place-2017-07-07-1200861111
http://www.lefigaro.fr/actualite-france/2017/07/07/01016-20170707ARTFIG00318-quid-du-retour-de-la-messe-en-latin.php
http://www.lci.fr/international/le-pape-francois-1-regrette-la-messe-en-latin-mais-lance-un-appel-pour-moderniser-la-musique-sacree-2028090.html
http://www.republicain-lorrain.fr/actualite/2017/06/24/michel-collin-clement-xv-pape-lorrain-clemery
http://www.la-croix.com/Religion/Catholicisme/Pape/Le-pape-Francois-reflechit-a-lavenir-du-motu-proprio-2017-07-07-1200861116?utm_term=707265