2017年7月9日日曜日

リベラション紙が 今夏アヴィニョンでソフォクレスの古代悲劇を演出する宮城聡を静岡に取材

(パリ=飛田正夫 日本時間;‎09/‎07/‎2017‎‎-12:56)5日のリベラション紙は、1995年に創設した鈴木忠志の後を受けて2007年から宮城聰が主宰している静岡県舞台芸術センターが、今夏アビィニョン演劇祭に参加してソフォクレスの古代悲劇アンチゴーン(Antigone)を演じるその最終準備舞台を視察しインタビュー記事を掲載した。そこでは日本の近代化以前に日本人に育まれてきた、西欧の二元論とは対比をなす日本独自の仏教的世界観が演じられるとリベラション紙は報道している。宮城は、神と悪魔が対立している西欧の二元論の思想が世界を二つの立場に分断していると指摘する。ソフォクレスの演劇も西欧の見方ではなくて、そうした善悪が人間の個々に於いてそれぞれ共に実現されているもので、善悪は一人の人間の内に共有されているという見方だ。宮城にとっては悪魔という存在も死後の天国や地獄という概念も不思議なものになっているという。http://md1.libe.com/photo/1036358-antigone_1__c__takuma_uchidajpg.jpg?modified_at=1499333228&width=975


善悪というのは、我々自身がそれぞれに於いて各自がそれぞれを持っているものであり、あの世では我々は総て等しく仏になるのだと考えていると指摘している。このような日本流のソフォクレス解釈はこれは悪の完全な権化となった人間や、完全な善人というのは考えられないし、また同様に死後の天国や地獄も疎遠な考えなのであると言う日本の近代化以前の思考からきていると見ているようだ。宮城によると戦争や紛争が世界に絶え間ない現代はこうした二元論的な世界観に原因があり、死後に生命が永続するという仏教の概念を提供することは人間存在により深さを与える新たな見方で、意味があるということを語っているという。

【参考記事】
http://next.liberation.fr/theatre/2017/07/05/shizuoka-ville-hantee-par-sophocle_1581774