フランス・ルノー自動車のスパイ騒ぎで同社幹部3人が告訴された事件から2ヶ月後がたった3月3日、ルノー社執行部スポークスマンは「スパイがいるという嘘の文書による」結末で、「ルノーもその犠牲者だ」といいだしている。スパイの責任は訴えられた幹部3人の責任ではなくなった。スパイ容疑者だった3人は電気自動車の情報を提供しその見返り資金が中国筋から入金されたと嫌疑されていた。入金先のスイスの銀行もしくはリヒテンシュタインの銀行に口座がみつからなかったために証拠が得られなかったとされる。このことで今度は、安易かつ早急に証拠もなく告訴したルノー自動車のカルロス・ゴーン会長ら執行部の信用問題が出ている。
ルノー自動車の開発する電気自動車の技術情報が中国から買収されてルノー社内の3人がスパイの容疑者として訴えられた事件だ。ルノーの3人の幹部がスパイ容疑を執行部から受けたのは1月4日である。
フランス国営放送・テレビA2などでこの産業スパイ事件が直ぐに大きく取り上げられた。その中で中国人学生のリリーさんのスパイ事件の映像を取り出してきて、中国を牽制するニュースを編集している。また日本人を登場させてスパイのテクニックとして、ネクタイを会社訪問時に液体の中に落として見せ、これを帰ってから中身を分析しスパイするという映像が流された。既に準備がなされていたようなA2の報道姿勢に感じられた。
丁度フランスの新聞では1月4日というと、「フランスの産業スパイはヨーロッパ最大である」というウィキリークス情報がフランスの新聞メディアで報道されていた最中であった。これは内部告発サイトのウィキリークスの創始者ジュリアン・アサンジ氏が世界5カ国の大新聞社に分析と発表を委託したわけだが、その一つのフランスのルモンド紙はこれを発表しなかった。この米国外交公電文書の暴露はスペインの綜合紙「エル・パイス」からなされてそれがフランスで問題になっていた。
ところがこのウィキリークス情報ではなくていわゆるルノー自動車内部の幹部告発のスパイ問題に関する発言がエリック・ベッソン産業相から出された。リベラシオン紙の1月7日によるとルノー社のスパイ事件は「経済戦争」だと躊躇なく発言したという。ルノーの執行部は「重大事だ」とし、ベッソン氏は「国のスパイ防止や金銭的な援助の打診を大蔵省としてみる」と発言している。
【関連記事】