2011年3月9日水曜日

ルノー自動車のスパイ騒動は、誰による「操作」なのか?それとも「詐欺」なのか?


ルノー自動車のスパイ騒動は大きくなるばかりだ。3人のスパイ容疑者は会社をやめさせられたが、証拠になる銀行口座は見つからず、今度はルノーのトップは「操作であった」とか「詐欺なのかもしれない」などと言い出している。犠牲になった3人の幹部に対する人権的な被害に同情するルノー社員や組合員、また与党議員からもルノー社のカルロス・ゴーン会長に責任を糾す声がおこっている。
ルノー自動車テクノセンター。パリ西部近郊のイブリーン県グゥイヤンクールにあり、フランスのシリコンバレー計画のオルセー台地に隣接しているフランス自動車産業の中心的存在。(写真撮影/筆者)

現在はルノーのトップは「操作された」ので被害者はルノーでもある。また「詐欺」だったともいいだした。

仏国民運動連合(UMP)国会副議長のマルク・ラフィノー氏はルノー自動車のゴーン会長の辞任、もしくは謝罪を要求するといっている。

労働総同盟(CGT)では誤ったスパイ事件だったと見ている。ルノーの社員は「会社にとって重大なイメージの損失だ」「有毒物が血管に流れたようだ」と話しているという。このようなことが経営の策謀として使われているとしたら、上司の決定は拒絶するといっていると、ユマニテ紙は報道した。

3月8日に出る政治風刺の専門新聞カナール・アンシュネが暴露したことによると、ルノー自動車スパイ嫌疑の訴えでルノー側は調査に25万ユーロ(約3千万円)を使い、20万ユーロ(約2千400万円)の追加金が期待されているという。さらに90万ユーロ(約1億800万円)をこのスパイ密告の証拠文書の提出と引き換えに調査会社が要求していという。

このような調査費用が調査源から要求される中で突然、この「アンケート源」は正しいのだろうか?という疑問がルノー自動車のトップに起こったのではないかと、カナール・アンシュネ紙は見ている。

ルノー自動車と「調査源」を取り持つ仲介役には反テロリストや反スパイの活動をする国家安全防衛局(DPSD)に2009年まで務めたドミニック・ジェヴレー(Dominique Gevrey)氏が担当しているが、そのパトロンというのはレミ・パグニ(Rémi Pagmie)氏でゴーン会長とは2000年初めに東京で知り合いそれ以来の友人だという。


3人の幹部がスパイの嫌疑をかけられてルノーの電機自動車の情報を中国に流した見返りの手数料をリヒテンシュタインとスイスの口座に隠しているとされ、会社をやめさせられた。その口座はいまのところ見つかってない。調査員によってチューリヒのKantonal Bank de Zurichにあるとされたマチユー・テネンボーム(Mattieu Tenenbaum)氏の銀行口座は存在しなかった。

この事件で犠牲になった社員幹部の3人は、世界中の自動車産業界から最極悪人としてこれまで扱われさげすまれて悲惨な目にあってきたという。フランス幹部連合(CFE-CGC)では受けた精神的損害賠償と会社への復帰をルノー自動車側に要求している。


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