2011年5月17日火曜日

ストロスカーンIMF専務理事の問題で サルコジ大統領はどう得をするのか?

「サルコジ大統領にとってドミニク・ストロスカーン問題は必ずしも良いものではない」とう記事がフランスのメディアを駆け回っている。これはロイター通信の配信記事で「エックスプレス.fr」や「ル・ポワン誌fr.」、フランスの地方紙「ラ・プロバンス.com」など多くのメディアで掲載されているものだ。5月15日のフランス国営放送・テレビA2の政治専門記者ステファンさんは時々本当らしきことをさっと口走るジャーナリストだと思うが、ドミニク・ストロスカーン事件はサルコジにとっては喜ばしいにきまっているが手を叩いて表向きには喜こぶわけにはいかないのだと話している。

5月14日のニューヨークでの性的暴力容疑事件までは、2012年の大統領選挙候補としてドミニク・ストロスカーンはサルコジ大統領の前に立ち塞がっている国際通貨基金(IMF)専務理事という世界最強の巨人であった。今までのいかなる世論調査でもサルコジに大きく溝をあけて突出していたのだから当然だ。しかし今はサルコジにとって戦わずして勝利を収めたかのような体勢になった。

しかし専門家のあいだでははたしてストロスカーンが最もサルコジにとって危険な男であったのかという疑問が強くなってきている。つまりその人格の複雑さが弱さでもあり簡単に不安定にすることのできる大統領候補者がストロスカーンであったのだとみるのである。それはサルコジと比較してのことらしい。一方、フランソワ・オランド仏社会党前書記長の場合だとストロスカーンよりも不安定化される度合いは少ないと政治学者などはみている。

調査会社(BVA)のガエル・スリーマン副社長によるとストロスカーン問題でサントリストの席が空きその分だけサルコジに有利になると見られる。またフランス現政権与党の国民運動連合(UMP)を出て行ったジャンルイ・ボルローエコロジー・持続的開発相(環境相)の大統領選挙への立候補にも状況がよくなったとみていて第一次投票で二桁も取れるのではないかといっている。

一般にはフランスへの国際的なイメージが悪くなるという意見が多い中でフィヨン首相の経済分析相談役のクリスチャン・サンテエチエンヌ氏はフランスの国際政治への影響力が薄れることを強調して非常に悪いニースでサルコジ大統領に否定的な跳ね返りの危険があるのではないかとしている。しかしフランスの国際社会での影響力と国際通貨基金(IMF)専務理事のストロスカーンと関係付けるのは難しいのではないか。そしてフランスが現在している国際社会への介入である、アフガニスタンやコートジボワールやリビアでの戦争をみればすでに信用は内外で失ってしまっているのではないか。すべてをストロスカーンのせいにお仕着にするわけにはいかないだろう。

(参考記事)