2011年12月2日金曜日

DSK事件:「陰謀説」復活、米ジャーナリストや本の出版が支持

12月1日、国際通貨基金(IMF)前専務理事ドミニク・ストロスカーン(DSK)は、自分の行いを後悔していると短く語った。DSKを全面的に支援して、同事件の陰謀説を強調する仏著述家のミッシェル・トーブマン氏の本「DSK事件-対抗調査」(Affaires DSK, la contre-enquête 、Editions du Moment)が発売されたその感想なのだろうか。「その日、ホテル・メイドのナフィサトー・ディアロさんに愚劣にも同意してしまった」、その時から「わたしは全く別の事件の扉を開けてしまったのだ」と。
この本が出版される前に米のジャーナリストのエプステェイン(Edward Jay Epstein)記者がやはりDSKの事件を疑っていて、仏大統領選挙の有望候補者であったことから何者かに落とし入れられたのではないかとする陰謀説を出して話題になっていた。



DSK事件の陰謀説を支持する米のジャーナリストのエプステェイン(Edward Jay Epstein)記者
この事件で、「DSKは地獄に落ちた」と書き、「DSKは地獄から這い出して来た」と表紙に書いた週刊誌ヌーベル・オブセルバトワールによると、DSKは5月14日、フランス・アコー系列のニューヨークのソフィテル・ホテルでメイドのディアロさんに性的暴力を行ったとされている。が、これが実はDSKを陥れる謀略の陰謀ではなかったのかという仮説がでている。

それはエプステェイン記者がディアロさんやソフィテル・ホテルの従業員の行動に不信な点があり、事件直後のパリのエリゼ大統領官邸への連絡がニューヨーク警察への連絡よりも早かったこと。DSKが夫人のアンヌ・サンクレールさんとの連絡に使用した電話の内容をエリゼ大統領官邸の何人かが傍受して知っていることが国民運動連合(UMP)内で働くDSKの友人によって知らされていたことなどが指摘されている。

フランス北部のリールにある高級ホテル・カールトンでの事件でもDSK氏の名前があがっている。これはフランスのリヨン地方の№2の警察の麻薬と売春に絡む事件だが、ここでもDSKは友人に招待されて出席したが一緒に来た女性が売春婦だとは紹介されなかったといっている。

与党政権の国民運動連合(UMP)元スポークスマンのドミニク・パイエ議員などからは、事件の直後の5月15日ごろに、ドミニク・ストロスカーン氏の性格から陥れられる可能性がわかっていて、罠に落ちたのだとの陰謀説の指摘もあった。その後はサルコジ大統領がDSK事件に、UMP議員の発言禁止令を出してためにインタビューで答える者がいなかったが、それでも陰謀説はくすぶり続けていてあちこちで話題になっていたようである。

DSKの問題はフランスという国柄もあるが、もし政治的な陰謀が隠されていたとするのならばそれは民主主義の危機であり重大事件となる。DSK事件は仏大統領になる筈だった人の事件でもあり、あまりにも不思議な理解しがたいことが多い。今後の新たな事実資料の発見が待たれる

【関連記事】


Dec-09-2011