2013年1月19日土曜日

捕虜殺害が危惧されるアルジェリア軍のイスラム主義者空爆 フランスは支持

4台のジープで逃走するイスラム主義誘拐犯をアルジェリアの特殊部隊が攻撃用ヘリコプターから空爆しその内の3台を爆破させた。この襲撃ではジープで誘拐されていた英国人2人が死亡している。このことで英米日などがなぜ襲撃前に知らせなかったのかと強い批判をアルジェリア側に向けている。気になるのは、アルジェリア東部のインアメナ(In Amenas)付近のティガントーリン(Tigantourine)ガス田基地で起こった誘拐事件ではここで働く600人ほどのアルジェリア人労働者は釈放されたが、英米日などの十数人の外国人が誘拐されたたまま釈放されてない状態での仏内相の発言があったことだ。問題は、たとえ少数でも捕虜や誘拐者の死を招く戦闘を行ったことが人権を考慮してなかったということにあるだろう。
17日のマニュエル・バルツ仏内相の記者会見では襲撃はアルジェリア国内問題で緊急な対処なので(知らせないのは)当然だと好意的に受け取っていて、むしろアルジェリアの対応を支持している発言をしている。ロラン・ファビウス外相はこのアルジェリアの「人質解放作戦」でフランス人捕虜が1人死亡し2人は生存していると発表した。18日のルモンド紙fr.によると、17日午後にはアルジェリア人573人が解放されていると発表している。外国人捕虜は132人の内の100人が解放されたという。

フランス人旅行者が偶然にアンナメナ石油基地から15キロ付近を通過したときに目撃した話しでは、「ガズ田基地のアルジェリア人技術者が中心になって鉄格子を切っていた」「夜の闇に紛れて20人ほどの捕虜のグループが逃走した」「その中にフランス人看護婦が一人いた。そこには米国人1人と英国人1人、幾人かの日本人がいて、他の国籍不明の者もいた」と証言した。同旅行者はサハラ砂漠を四駆で歩き回っていた。アルジェリア警察は同氏をチュニジアまで護送している。

ベルギー外務省のスポークスマンはイスラム主義武装蜂起集団側の発表した捕虜数を挙げている。それによると9人の外国人捕虜の内ベルギー人が3人、米国人2人、日本人1人、英国人1人だという。



米軍飛行機は負傷した捕虜の輸送を開始したが、その国籍や氏名や人数、更には輸送先に関しても発表を控えていると同ルモンド紙fr.は言っている。

丁度一週間前の1月11日に突如としてオランド仏大統領がマリのイスラム主義者への戦争を開始した。これは筆者にはフランス国内でのホモ結婚議案に反対する大々的なデモがパリで行われる13日の直前であったことからオランド氏にはこの戦争で乗り切ろうという考えたあったのではないか?と思えるのである。マリへ仏軍を派兵して戦争を行う直接的な理由は他に見当たらないからだ。

しかしオランド大統領はもしあの時にマリ政府を支持してイスラム主義との戦闘に出なかったのならばマリはアルカイダの支配下になってしまうとう状況にあったのだと説明している。現在のところ欧州諸国でフランスの戦争を支援する大きな声はない。物資などの支援でドイツや米国などが一部連帯しているが軍隊を派遣する決定はどこの国も出していない。


【参考記事】

Prise d'otages en Algérie : le suivi de la situation en direct

Le Monde.fr avec AFP et Reuters |  • Mis à jour le 
http://www.lemonde.fr/afrique/article/2013/01/18/poursuite-de-l-operation-de-l-armee-algerienne-lourd-bilan-redoute_1818866_3212.html