問題は、もしリリアン・ベタンクールさんが精神鑑定の結果、元気で五感の機能が低下してないとした場合にはサルコジ前大統領などが彼女から現金を誤魔化し取ることはできなかったということが正当化できる。しかしその逆だとすると、リリアン・ベッタンクール事件は精神薄弱化した高齢者に迫っての強奪行為だという判断が出てくる可能性が高い。そのために医師の精神鑑定に疑惑があってはならないというのが被疑者7人側の主張の背景にはあるわけだ。ベタンクール事件の仏最高裁判所の公判は20日になったと6月18日に発表された。
リリアン・ベタンクール事件の被疑者7人(この中にはサルコジ前大統領やエリック・ブルト元財務相もいる)は、同事件の予審を担当した3人の判事を不服として6月初旬から棄却を上訴していた。
ベタンクール事件はサルコジ前大統領の指名したナンテール裁判所のフィリップ・クロワ氏により調査が進められていた。が、これを影響の受けないボルドー裁判所へ移して調査が続けられていた。
ボルドー裁判所で担当した3人の予審判事の1人のジャン・ミッシェル・ジャンティ判事(Jean-Michel Gentil,)は、 オレアル化粧品社長でフランスの大富豪リリアン・ベタンクールさん(84歳)の精神鑑定をおこなった。その5人の医師の1人であるソフィ・グロンブ(Sophie Gromb)さんはジャンティ判事の妻側の結婚証人であった。このことをパリジャン紙が明かしたために、一気に両者の間に事前の打ち合わせがあったとして被疑者の7人らはその上訴を求める訴えを出した。
最高裁の弁護人側のジル・ラカン弁護士はこの上訴を当然のこと正しい要求だとして評価している。
ボルドー裁判所の2人予審判事バレリー・ノエル(Valérie Noël)氏とセシル・ロマナトクソ( Cécile Ramonatxo)氏はジャン・ミッシェル・ジャンティ(Jean-Michel Gentil)氏を擁護して「誰にの目にも正しいとわかることが非常に重大なことなのだ」と言っている。
また審査は複数の判事と複数の医師によってなされたのであり、誤魔化しのありようがないものであったとの意見が出ている。
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