2015年7月10日金曜日

サルコジの陰謀も臭わせる フィヨン元首相が訴えたルモンド記者への誹謗中傷告訴は無罪放免判決

7月9日のパリ軽罪裁判所は、ジャン・ピエール・ジュイエ(Jean-Pierre Jouyet)大統領官邸エリゼ宮総書記官とルモンド紙のジャーナリスト2人が誹謗中傷を犯したとの罪状は当たらないと、無罪放免の判決を出した。この事件はサルコジ前仏大統領政権下の首相であったフィヨン氏が、2012年の仏大統領選挙の運動資金限度超過違反や二重帳簿の不正が内部告発された「ビグマリヨン事件」などで瀕死の状態にありコッペ国民議会連合(UMP)議長は辞任していた。弱体化していたサルコジ氏を追い落とす絶好のチャンスと捕らえ、フィヨン氏の友人であるジュエ氏に、大統領官邸エリゼ宮殿近くのレストランで昼食を共にした時に、「早く裁判審議を進め、サルコを叩かないと彼がすぐにやってくる」と進言したと見られている。この両者の会話がルモンド紙のジャーナリストのジェラール・ダベ(Gérard Davet)氏とファブリス・ロム(Fabrice Lhomme)氏によって録音されていたのが、2014年末に書いた本「Sarko s’est tuer」(仮に訳すと、「サルコの自殺」)に掲載されていた。この件で2人のジャーナリストとジュイエ氏が訴えられていたのである。またサルコジやフィヨンからは、これはオランド側の大統領官邸の陰謀ではないかと訴えられていた。(パリ=飛田正夫 2015/07/10 13:36日本標準時

ジュイエ氏はフィヨン首相の時に2年間欧州問題担当相をしていた。

フィヨン氏は次の2017年の大統領候補者として国民議会連合(UMP、現在の仮称、共和国党)から立候補する意図もあり、サルコジが邪魔だったと考えられる。
ルモンド紙側の弁護士は二人のジャーナリストの公刊した情報は正しかった。みんなが知る公共の利益に役にたったことを裁判所は認めたのだと話した。

まったく不思議な事件なのだが、なぜフィヨン元首相がサルコジ前仏大統領を失墜させようとしたのかだ。これまでサルコジの金魚の糞みたいにしてきた人間がいくらサルコジが弱体化したとはいえ、大統領選挙にはジュッペボルドー市長(元首相)も立候補するし他の有力な候補も党内にはたくさんいるのである。フランソワ・オランド仏大統領が人気が少し出てきた時でもあったので、やはり最大のサルコジの政敵はオランドなのであり、サルコジの2017年の大統領選挙運動資金での違反が暴かれてUMP全体が動揺していた時でもあった。謎を残さない理解からは、オランドを落とす逆襲にでたのではないかという筋で考えるとわかりやすいように思われる。そのために使われたのがフィヨン元首相と勝手の部下であったジャン・ピエール・ジュイエ氏ではなかったのかと思える。

当時においてもまったく不思議な事件であった。当然のこと、これは話題になっていたし、政治の司法への口出しが心配されていたが、オランドはこの事件に関して不思議なくらい遠ざかっていたのは賢かった。
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http://franettese.blogspot.fr/2014/11/blog-post_14.html
サルコジ落としの陰謀容疑のフィヨン・ジュイエ論争は 今夜にも最高裁が録音を公開
【参考記事】
http://www.laprovence.com/article/actualites/3129346/fillonjouyet-premiere-manche-judiciaire-avec-laudience-en-refere.html

http://www.lemonde.fr/politique/article/2015/07/09/affaire-fillon-jouyet-relaxe-pour-le-secretaire-general-de-l-elysee-et-les-deux-journalistes-du-monde_4677169_823448.html