2015年9月8日火曜日

サルコジがナンテール警察で取調べ ビグマリオン前にジュッペやフィヨン元仏首相は 悪い付き合いを去っていた

9月7日になって、仏国営ラジオ・フランス・アンフォは、サルコジ前仏大統領は先週4日朝にパリ西郊外のナンテール警察所の「汚職と財政違反対策本部」(OCLCIFF)に出頭し取調べを受けていたと報道した。その間の5日にはサルコジを支持する「共和党」(Républicains)=前の「国民議会連」(UMP)の夏期講習会がブルターニュ地方の海水浴場で知られるラ・ボール(La Baule)であった。フィヨン元首相とジュッペ元首相は会場に時間どおりやってきたが、サルコジ前仏大統領は遅れてやってきた。しかしフィヨンとジュッペはサルコジが来て8分後にその会場を去った。この不思議な出来事は良く理解できなかった。が、二人の首相経験者はサルコジと一緒にいることが危険であることを察知していたのだろう。サルコジへの警察の手が前日に伸びていたのである。体制メディアはサルコジに協力してかこれを隠して7日になって報道した。(パリ=飛田正夫2015/09/08 1:08日本標準時)

この事件はロジャー・ル・ロワール判事とヴァン・リュインベック判事が調べている事件で、サルコジ前仏大統領の2012年の仏大統領選挙での1800万ユーロ(約27億円)にのぼる架空の請求書を作成させて、サルコジの選挙演説会場の設営担当会社エヴァン&シィに、サルコジの支持母体である国民議会連合UMP(国民運動連合の議長はフランソワ・コッペ)に支払わせていたもの。このエヴァン&シィ社の子会社の名前が「ビグマリヨン」といったので「ビグマリヨン事件」という。同会社側責任者やサルコジを除くUMP選挙運動責任者らは既に起訴されている。

フランスの選挙法では選挙運動資金は立候補者が支払うもので、UMP党が肩代わりしていたが、これはしてはいけないことになっていた。またサルコジは仏大統領選挙運動資金の使用限度許容額をはるかに超過して選挙運動をしていた。

これらの不正をBFM TVに出演して内部告発したのが、当時コッペUMP議長の右腕であった現欧州議員のジョローム・ラヴリユー氏だ。彼は当時は2012年のサルコジ仏大統領選挙運動の副責任者を務めていた。このことでコッペ議長は辞任した。

悪名高くなった「国民運動連合」(UMP)の名前を嫌悪して名前を変えればよいとしたサルコジは、現在は同党は「共和党」(Républicains)と呼ばせている。「共和主義者」も「リパブリカン」(Républicains)なので全フランス人が共有する価値付けとなる名前を付けたのも大問題になっている。正常な目を掠めすかす「有名無実」化するやり方だ。