アサドに会いに行って帰って来たばかでそれが問題視されている仏上院議員チェリー・マリアニー(Therry Mariany)氏は右派サルコジの「共和党」(LC)員だが、テレビiTéléでのアラブの専門家アニエス・ルバロワ(Aniès Levallois)さんとのデバ(フランス式討論)の中では、ロシアのプーチン大統領に支えられながらパルミラを奪還できたことを喜ぶべきで良いことだと手放しの発言だ。これに対し、マリアニー氏にアニエス・ルバロワさんは発言を何度も遮断されながらも、シリアのアサド大統領が独裁者として、自国のシリア市民を殺害し難民化させたその責任を問いかけている。この点がマリアニー氏の言葉にの中には一言も出なかったことだ。殺害され難民化されたシリア市民のことを忘れてしまって、自国の市民弾圧をする独裁者アサド慰問を平気で行う政治家なわけだ。
米国務省スポークスマンのジョン・キルバイ(John Kirby)氏の発言も、アサド専制政治を続けることではないがとしながらも、シリア市民にとって大きな希望をもたらせたのは確かだとしてアサド大統領が問題解決への成功を収めたとして評価している。そしてダエッシュ・イスラム主義国家組織(EI)は人類の歴史遺産を破壊したと発言しているが、これもシリア人がアサドに虐殺され国外に流出した惨事には一言も触れていないようだ。
「20minutes」は、両大国の直接交渉の成果で、5年間に渡るシリア危機が1カ月間の停戦の後に政治的に移行政権への動きが急速化していると書いている。この「20minutes」の見方は、多くのフランスのメディアの見解でもあるようだが、民法テレビiTéléはその点でも大分異なっていた。iTéléは、シリアのアサド反対派は国外に流れ出てしまって、また反対派は殺害されてしまった。こういう中での民主的な選挙などはあり得ないと報道している。米国はシリアの暫定移行政権への課題は、現在のシリアの大統領アサドを抜きにして行われるとはいうものの、最近は以前のようなアサド即時国外追放を言わなくなってきている。
【参考記事】
http://www.20minutes.fr/monde/1815073-20160328-syrie-ei-chasse-palmyre-bonne-chose-washington