2016年4月21日木曜日

エーゲ海で500人近く遭難死 リビア航路の悲劇 証言でトルコ送り策に疑問も 

(パリ=飛田正夫2016/04/21 9:39日本標準時)国際連合難民高等弁務官事務所(HCR)が20日に明かしたところによると、4月17に、船がエジプト国境に近いリビアのトブルク(Tobruk)港を出港しイタリアの間のエーゲ海で遭難し乗船していた500人近い難民が死んだと報告された。この大きなショックは、ギリシャからトルコへと難民を送り返すことでヨーロッパへの難民の流れを止めるために、欧州とトルコで協定した考えを揺り動かしている。難民を欧州は直接に受け入れるべきだとの動きが再度起こっている。しかし、20日に欧州委員会役員は3月18日に決めた資金援助と引き換えにトルコが難民受け入れの更なる約束に努力していくことを求めた。またギリシャ支援も強化していくべきだとしている。ギリシャからトルコへと送られたシリア人で、ヨーロッパへのシリア難民として最終的に受け入れされる枠は72000人だ。3月18日の協定によりエーゲ海を渡る悲劇が減少してきたと新たな難民対策に手ごたえを感じていた矢先の大悲劇であった。この悲劇の多くはソマリア、エチオピア、エジプト、スーダンから来た人々であった為に、この遭難事件はアフリカ難民であって、欧州-トルコ協定とは別の話だという冷たい言葉を吐くテクノクラートもいる。しかしトルコ側にはギリシャ側から送られてきて足止めされた難民が増えあがっていて、リビア側へと流れ、今回のようなイタリアへのリビア経由が再度浮上しているとも見られる。

リビアを真夜中に渡し屋(パッスー)によって一人一人小舟に乗せられ、大きな船へ向かった。その船は、一隻は200人が乗りもう一隻には480人程が乗っていたと、妻と出生2カ月の幼児を失ったエチオピアの25歳の青年は語った。41人の生き残りの人々は、30人は小舟を漕いでギリシャ南西部のカラマタ(Kalamáta)に辿り着いて助かった。このエチオピアの青年たちは船には渡し屋の一味と何人かが乗っていて、同船を断られて泳いだ。その時には妻も幼児も海荷にのまれて死んでいたと語っている。青年の証言には心が動揺している所もあり日数などで一致しない点もあるという。

【参考記事】
http://www.rfi.fr/europe/20160420-migrants-temoins-semblent-confirmer-pres-500-morts-mediterranee
http://www.swissinfo.ch/fre/difficile-concr%C3%A9tisation-de-l-accord-l-ue-turquie-sur-les-r%C3%A9fugi%C3%A9s/42101602
http://www.lemonde.fr/europe/article/2016/04/20/accord-ue-turquie-sur-les-migrants-bruxelles-demande-plus-d-efforts_4905512_3214.html
http://www.bruxelles2.eu/2016/04/20/pas-de-routes-alternatives/
http://www.lemonde.fr/europe/article/2016/04/20/des-centaines-de-migrants-seraient-morts-dans-un-naufrage-en-mediterranee_4905564_3214.html
http://www.lepoint.fr/monde/500-migrants-auraient-peri-dans-un-nouveau-naufrage-20-04-2016-2033633_24.php