2016年6月2日木曜日

社会党のパリ市長が難民キャンプをパリ市内に複数設立を発表

(パリ=飛田正夫02/06/2016 3:38:38 日本時間)パリ市長アンヌ・イダルゴ(Anne Hidalgo)さんは5月31日に国連(ONU)基準の人道キャンプをパリ市内に複数設置すると宣言したことで、大きな論議を沸かせている。明快な場所の発表は無かったがパリ北部のポート・ド・シャペル付近でパリ市の土地だと言われていて近く発表される。難民キャンプの開催は1カ月半ほど先になる。明確な収容規模は発表されてないが、とりあえず数百人を収容できるものとなる模様。社会党のパリ市長は、3カ月前からパリ18区では900人の難民が野宿生活していることなどに触れて、「これ以上パリの中に不衛生で掘っ立て小屋の難民キャンプが増えることは人道的な観点から許されない」「尊厳のない難民受け入れは、ヨーロッパの歴史に照らし、またフランスの受け入れ水準ではない」と31日の記者会見では話した。

これに関し右派の議員からはフランス人の貧困者が救済されてないのに、「難民」救済は逆なのではないかとの批判がある。しかし人権団体や人道的支援を考えるフランス人がわからはイダルゴ市長に声援のブラボーが送られている。

フランス人という前に国籍や人種を超えた人権を考えるパリ市長なのだ。ナチズム的な人種差別主義者が前の大統領選挙ではペンの極右派系国民戦線(FN)を20%も支持していることから、パリ市長の人道支援は反人種差別の素晴らし人道政策だといえよう。

しかしながら夏に向かってリビア方面からのアフリカ「難民」は増加の一途が確実に予想されていることからイルドフランス全体での受け入れが強化される必要がある。

これまでの難民受け入れではしばしば郊外のホテルや食料の調達も不便な場所にある難民受け入れ施設が多かった。イダルゴ市長はまず第一に緊急に必要なことは、「尊厳性」を持って、「国連と国際連合難民高等弁務官事務所(UNHCR)の規格に準拠」した難民受け入れキャンプを準備することだと宣言した。

これについて右派は大きな怒りの反対の声を上げている。フランスの保守派を獲得するためである。

民法テレビiTéléに6月1日に出演したサルコジ前大統領の講演原稿を書いていた元エリゼ大統領官邸特別書記官で現イヴリーンヌ県議員のアンリ・ゲイノ氏は、自分は人種差別主義者でないとしながらも、介入すべきではない個人生活にまで立ち入って話し、フランスの文化と習慣を移民・難民は受け容れて遵守すべきだと話した。

【参考記事】
http://www.lemonde.fr/immigration-et-diversite/article/2016/05/31/anne-hidalgo-veut-creer-a-paris-un-camp-humanitaire-aux-normes-de-l-onu-pour-les-refugies_4929714_1654200.html
http://www.liberation.fr/france/2016/05/31/anne-hidalgo-annonce-l-ouverture-d-un-camp-humanitaire-a-paris_1456402

http://www.20minutes.fr/paris/1856139-20160531-migrants-anne-hidalgo-annonce-creation-camp-humanitaire-paris