2017年5月2日火曜日

マクロンはルペンの人種差別にアタック FNが仏歴史に残す汚点の地を連続訪問


(パリ=飛田正夫 日本時間;‎02/‎05/‎2017‎‎-11:14:38)仏大統領選挙決選投票でのマクロンのスローガンは「FRANCE,EN MARCHE」(動くフランス)で、マリーヌ・ルペンのそれは4月26日に「CHOISIR LA FRANCE」(フランスを選択)を発表。ルペンはフランス人には外国人と異なるアイデェンティテーがあるのだとして人種差別的認識でフランス人を特別視して選択しようと言っているわけで、フランス人を分裂させる思想である。マクロンは共和国フランスは移民の国であって人種や宗教の違いで差別されたり移民が排除されてはならないとするもので、みんなが仲良く暮らすという認識がある。その為にマクロンは仏大統領選挙の戦術としてルペンの嫌う過去の極右派系国民戦線(FN)の行って来たナチスドイツ的思想や行動の歴史をアタックする方針を取っている。仏前経済相エマニュエル・マクロンは、ナチス思想に加担した超極右主義思想の国民戦線(FN)がフランスの歴史に残した汚点の地を連続訪問し続けている。
マクロンは28日に第2次世界大戦の1944年6月10日にナチスのによる642人の殺戮があった小村、仏南西部のトゥールーズとポワチエの間にあるリモージュ近くのオラドゥー・シュー・グラネ(Oradour-sur-Glane)を訪問。5月1日のメーデーにはパリのマレ地区にあるユダヤ人大虐殺記念館を訪問した。また1日は1995年にFNの行進の際に極右系活動家によってセーヌ川に突き落され殺害されたモロッコ人ブラヒム・ブーアラム(Brahim Bouarram)氏をルーブル美術館近くのカルゼール橋で追悼した。

ルペンの方は外国人が安い労働賃金でフランス人の仕事を奪っているとして、フランス国内の企業も賃金の安い東欧へと移転するのは欧州共同体(EU)があるからだとしている。EUから独立し独自の通貨を持つことが必要だと欧州離脱を宣言している。しかし昨日あたりから意見を変えてルペンは欧州通貨ユーロと独自のフランス通貨の二つを使うのだと可笑しなことを言い出している。

ルペンはトランプ米大統領と同じく国境を封鎖し移民を追い出す人種差別的政策を構えている。

フランスのテレビは、フランス国営放送テレビA2や民法テレビTF1、テレビBFMTV、国際放送専門の「テレビ24」など大手メディアの一部には報道の平等性にかこつけてこのフランス共和制の人権を擁護して人種差別主義の極右派マリーヌ・ル・ペンのFNと闘う姿勢がみられないのが残念だ。

報道の真実とは人間の本質的権利剥奪や人権蹂躙の圧力に対し抗議の報道を貫くことなくして市民の権利は守れないだろう。

報道はイデオロギーであってはならないが、フランスならばルペンの思想と闘い人権を擁護する報道姿勢のことだ。よく見ると、今回の仏大統領選挙では映像の放映や解説などで、公共報道に偏った保守的な報道姿勢が個々の立場でもって感じられる。報道も異なる思想を持つ人間が携わるものなので、そこに公平な報道の難しさがあるのも確かだろう。

インターネット新聞の「メディアパー」や辛辣な政治家暴露の専門紙カナール・アンシュネや知識人層と学生にも人気のあるリベラション紙などがそれなりにメディアの立場を表明して書いているのは気持ちがよいのは公共メディアの平等性で偽装した仮面が必要ないからだ。

カユザック財務相の隠し金を暴露し失脚させた「メディアパー」や、フィヨン仏大統領候補とその妻を架空雇用・公金横領で起訴に持ち込んだ「カナール・アンシュネ」など、また地方紙にも真実を糾明する優秀な小新聞社が幾つもフランスにはあるので、これが民主主義実現の希望ではある。