2011年5月12日木曜日

仏原子力空母などNATO軍が否定 リビア難民「見殺し」を英ガーディアン紙が抗議 

3月20日にフランスの原子力空母シャルル・ドゴールが南仏のツーロン港からリビアでカダフィ軍に攻撃をうけている人々を保護しようと出港した。空母はリビアの難民72人を乗せた漁船とトリポリとイタリアのランペドゥーザ島の間の地中海ですれ違ったという。仏の空母は移民が乗る船が遭難しているのを見ながら救助しなかったとイギリスのガーディアン紙から批判されている。救助がなかったことで61名が見殺しになったというわけだ。北大西洋条約軍事機構(NATO)のスポークスマンによるとこの時間帯にはNATOの指揮下でイタリアの空母ガルバルディが一隻、リビア沖2キロ弱を航海していたという。

ヘリコプターが船の頭上を飛行してきて「パイロットは軍隊服を着用していたのがわかった。水のビンとビスケットの箱を投げてくれた」、「ヘリコプターは去ってしまい。その後は何の支援もなかった」と生存者の証言を5月の10日の今日のフランス紙は掲載している。

リビアの難民はトリポリからイタリアのランペドゥーザ島を目ざして3月25日に出港しているが船が故障して3月29日か30日から漂流していて、漁船は戦艦の付近を通過していたといわれている。

生存者の難民の証言からシャルル・ドゴールであるといわれている。「戦艦から2機の飛行機が飛びたって、ゆっくりと漁船の上を飛んだ。それに対して難民は手の先に幼児を持ち上げた」が、「誰も助けにこなかった」、「一人二人と飢えと乾きで死んでいた」と証言されている。その後、船はリビア沖のミスラタ近くで4月10日に座礁している。

バール・マタン紙によると、5月9日午後、電話でフランス軍首脳部に問いただすと一方的な拒絶の返答が返ってきたといっている。フランス空軍参謀本部(EMMA)のスポークスマンチェリー・ブックハード氏は「空母はトリポリから200キロ以内には絶対に行っていってない」し、「リビア海岸沖で展開されたアルマッタン作戦に参加してフランスの軍艦はシャルル・ドゴールも他のどんな艦船もすべて移民を乗せた船に出会ってはいない」といっている。

5月10日のフランス通信(AFP)によると、ランゲ仏国防相も10日にこれを否定しているという。

9日のリベラシオン紙では空母はフランスだけでなくイタリアの空母ガリバルディや米海軍のキアサージ強襲揚陸艦もNATO指揮下で地中海に展開中だったといっている。

もしこれが事実だとすれば、リビア市民を保護に出港した仏原子力空母もNATOのどこの国も遭難しているリビア難民を救助しなかったということになる。市民の安全など考慮してない欧米の戦略はたいへんなスキャンダルな事件になってしまうだろう。

リビアのカダフィ大佐を空爆するといってサルコジ大統領によって開始され空爆だが、後でNATOも加わった。そもそも当初から戦争の理由が不明瞭であったのではないか。

(参考記事)
Le Charles-de-Gaulle accusé de non-assistance à un bateau de migrants libyens | Var-Matin