シリアのバッシャール・アサド大統領体制の軍隊はオムスの町を大砲やロケット砲で連続攻撃してから既に5日目が過ぎた8日には少なくとも50人が殺害されている。長らく沈黙を守ってきたNGO組織の国境の無い医師団(MSF)は8日、シリア体制が反体制派の負傷者の救助にあたる医師に対し残忍な弾圧を続けていることを告発した。シリアのアサド体制による市民への武力弾圧は当然のこと辞めるべきである。しかし、この紛争を機会にして自国の利を得ようとして立ち回る国もあり、内政干渉を試みる者がいるということが更に心配される。これまでにそうした国による市民の犠牲が増大された例が少なからずあったことが我々の記憶に新しいからだ。紛争の解決はたとえ国際社会の合意があっても、また国連軍によってでも武力ではできないということである。
オムスはシリアの中央にある町で2011年3月にアサド体制への批判運動が開始された町である。町は電気や電話回線が切断されて水道も止まって食料も手に入らなくなってきているという。アサド体制は蜂起する民衆側をテロリストとして糾弾して、自動車に仕掛けた爆弾で市民を殺害する暴力の元凶として扱っている。
4日の国連安保理の解決案に対しロシアと中国が拒否権行使を企てたことで交渉が行き詰ってきている。シリア体制を支持するロシアは国際社会がシリアへの内政干渉をしないことを主張している。ロシアのプーチン首相は我々の任務はどんな内政干渉もしないことで、シリア自身が問題を解決することだとしている。ロシアのメドベージェフ大統領は解決策を探すことは国連安保理に於いても、続行すべきであることをのべている。