仏政府はロマ人の仏での同化政策を促進するために政府はこれまで150種に限られていた職種を拡大してゆく方針だ。フランス国営放送テレビA2やラジオ・フランス・アンフォが22日に報道した。これまでロマ人は仏国内で仕事もなくサルコジ政権下ではキャンプ取り壊しで追放され本国のルーマニアやブルガリーなどに一人300ユーロ
(約3万円)を持たされて強制送還されてきたが彼らはすぐに舞い戻るケースが多かった。これが人権違反としてブリュックセルの欧州議会から批判されていた。ロマ人問題の根本的解決は仏国内での労働権を拡大してゆくことにあるというのが今回の社会党政権の方策の基本にはある。
ジャン・マルク・エロー仏首相はキャンプ周辺の住民や衛生面での危険性を考慮しながらロマ人キャンプの撤廃を進めてゆく方針で、22日夜の閣議で暫定的なロマ人対策を提出していくことにしていた。
ルーマニアとブルガリアは2007年1月より欧州連合に加盟しているが仏は最近の加盟国に対し7年間を暫定期間として欧州 (EU)内の自由労働の権利を2014年1月まで制限することになっていた。フランスの人権擁護団体である人権連合 (LDH)などではこれを早急に実現することを要求していた。
仏政府では個人の貧困や乞食、子供を使った売春との闘争を強化するとして22日夜の閣議にはセシル・デュフロー住宅相、マニエル・バルス内相、ベルナール・カザヌーブ欧州問題相などが参加した。セシル住宅相によるとフランス国内での貧民窟は放置できないことでありアラン・レニェー知事が省庁間の連絡役になって今後ロマ人問題の解決をしてゆくという。
閣議に先立ってロマ人支援の協会ロムヨーロップ (Romeurope)の7人メンバーが首相官邸に招かれて、「ロマ人が問題ないこと」、「欧州加盟国のメンバーとして扱うこと」、「仕事が必要なこと」などを話した。同協会の責任者マリク・サレムコール氏は政府の省庁間次元での連携プレーや倫理的な市民としての取り扱い方には好意を抱いていると評価している。
フランス国内には15000から20000人のロマ人がいると見られている。リヨンやパリやリールで今月初めにロマ人の国外追放があって、これではサルコジ政権と同様な政府の方策でありオランド大統領の選挙公約と異なるとしてエコロジー・緑の党などから批判されていた。
LDH によれば仏国内には15ほどのロマ人キャンプがあってそこには1000人ほどが住んでいるという。