夏のバカンスが終わり新学期の9月になると恒例のワインの市場祭りがどこのスーパーでも開かれる(写真撮影は筆者)
フランスは毎年9月になるとワインの市場祭りがどこのスーパーでも開催され多くのワイン愛好家を集める。一種、秋の風物詩のような感じなのだ。メドック、マルゴー、サンジュリアン、ポイヤック、ガロンヌ川右岸のコット・ド・ブレイエ、サンテミリオンなどボルドー産の銘柄が人気なのはタンニンが多いために長期の保存がきくからだ。20本30本とまとめ買いをする。アルコールの害はこの人たちにはあまり耳に入らない。それでもビオ・ワインの人気もあるのはやはり消費者は薬害などで健康を気にはしているということか。
特設のワインコーナには若い人は少なかったが幾人かに質問してみると、「ワインが好きでブルゴーニュ、アルザス、ボルドーなど何でも飲む」と30台の男性はカートの中に入れられた30本ほどの瓶を指差しながら答えた。一人で買い物にきている。いくらくらいの予算なのか?と聞くと、「1本7ユーロ(約800円)が上限だ」「今回はポルドーを買ったのだ」という。どこに保存するのか?「地下の倉庫(カブ)だ」
フランスの家屋は新築のアパートでも必ずといっていいくらいそれなりの大きさのカブがある。
60代の夫婦らしきカップルはカートの中の30本ほどのボルドーワインに目をやって、ふざけながら「今夜のために買ったのだ」といいながら楽しそうだ。良いワインなのか?と聞くと「わからない」と短く答える。
値段は1本4ユーロ(約450円)ほどの特価札のついているものであった。
一本100ユーロもするワインも並んでいるが庶民には無関係なようだ。ワインの喜びは値段ではなくて、自分で選んだワインを食卓に供してみんなで歓談しながら飲めればよいということか。
幸せそうなフランス人を横目に、ふと、福島の原発事故のことが気になった。そういえばアルザス、ロワール、ローヌなどのブドウの産地にはいずれも原発基地がある。もし事故が起こればこの麗しき伝統も放射能の危険に苛まれ、福島の苦しみが一瞬にして再現されることになる。