つまり悪魔や妖怪がセルトの世界では多神教的な神の存在であったと考えられる。こういうどろどろとしたフランス文化の古層セルト民族のドルイド教の世界はキリスト教に悪魔視され排除されていったために、ハロウィーン等の悪魔や幽霊の仮面をつけ仮装しかも悪魔退治の長刀まで身にまとうのはやはり、キリスト教文化の異教徒に対する勝利を表している祭りだと解されるのである。
現代フランスではあまり人気がないのは当然だろう。フランスではハロウィーンは定着しなかった。しかし今年はクルーン(道化)の仮面を被った青少年の犯罪が次第に激化して大人が道化の仮面をつけた事件で注目されたこともあってか、10月31日のハロウィーンは今までの人気のなさを大きく覆すことになった。
パリで何人かに質問すると、ハロウィーンは悪い考えを追払うのだという。翌日のトーサンの万聖節の墓参りの習慣とは関係ないだろうと思うと答えが返ってきた。息子さんと父親の二人ずれが花屋の前で墓前に供える菊の花を選んでいたので聞いてみた。そのためか子供たちが黒いマントーをつけて吸血鬼や妖怪の仮面を被り、長い柄の草刈カマを持っていたことでわかった。その子供の手に持ったプラスチック製の大きな草刈カマの刃の部分には赤い血がついていた。一緒にいた母親にこのカマで人を殺害したのか?と問い糾すと、悪魔を退治したのですということだ。それにしても恐ろしい情景が浮かぶ。
このハロウィーンが悪魔祓いの祭りであるためか、大手スパーの店員も頭に角をつけたり、悪魔のような化粧の扮装をしたりしてい。
パリのオペラ座付近を仮装した若い女性が歩いていたので写真を撮らせてもらった。