2015年4月23日木曜日

サルコジの子飼がトビラ法相に噛み付き 9歳のクロエ誘拐暴行殺害を 卑怯な政治論争に利用 ペクレスが批判

フランス北部のリールの町で起こった事件がメディアで騒がれている。しかしこの騒ぎ方がおかしい。ポーランド移民の男性が性犯罪を犯し2014年3月に本国に引き渡されていたが、フランスに舞い戻っていてこの4月初めにリールの町の9歳の少女クロエ(Chloé)さんを襲って誘拐し暴力を加え殺害した。この事件に関して、クリスチャン・トビラ法相が2014年10月に施行法制化した「トビラ法」を捕まえて、性犯罪常習犯の取り締まりがいい加減で増加するだけだとして政治論議を巻き起こそうと謀ったのがサルコジ氏の噛み付き役で国民運動連合(UMP)の№3と目されるローラン・ウォキーズ総書記長であった。しかしその下卑た言動と的を得ぬズレた論理は、仏議会を辱めるものだとして同UMP党内部のヴァレりー・ペクレス元高等教育・研究相やブルノ・ル・メール元農林水産相などからも批判されている。
しかしウォキーズ氏はなかなかのやり手で、単なる阿呆を受けた者として片付けることはできない。装って誤魔化す手を使える者だとみたほうがよいだろう。したがって、サルコジ政権時代に移民の子弟の再犯者は仏国籍を奪うという人種差別宣言を行って移民に厳しい政策をしていたことなどには一言も触れずに、2014年10月に施行された「トビラ法」を批判したのである。

2008年7月ごろにサルコジの法務大臣であったダチは過密状態になってしまった監獄が逆に騒がれて、25%の罪人の軽減化をして監獄から出すことになったのである。これだから優秀なペクレス元高等教育・研究相は、ウォキーズのトビラ批判で言っている論点が的外れであることを悟り、ウォキーズを批判したのであった。トビラ法相の怠慢を批判するのならその前にサルコジの過去の政治の怠慢をこそ批判すべきではないか?同様に、クロエさんの殺人犯は、2010年3月に二回目の犯罪で執行を受け、フランスの刑務所で6年間の刑期を受けていたが、4年後には刑務所を出ていた。

ペクレスさんは、事件は性的再犯者の問題なのだから、トビラ法の責任ではないとウォキーズの的外れをたしなめた。また、犯人がフランスに舞い戻ってきたからといって、それは欧州連合域内自由移動協定シェンゲンの問題で「トビラ法」のせいにして政治論議の材料に利用してはならないと語っている。

ル・メール元農林水産相はウォキーズ氏だとは名指しせずに「驚くべき不幸な事件を材料にして政治論議を起こそうとすることは許されない下品なことだ」と話した。エマニエル・バルス首相は「こんな下卑た論議は絶対に許せない」と宣言した。サルコジはこの部下の発言に関し、いまだにコメントをだせないでいる。

【参考記事】

"Le drame est intimement lié au fonctionnement de Schengen, il pose la question de la fin des contrôles aux frontières", a-t-elle affirmé, ce dimanche.
LEPOINT.FR|作成: LE POINT, MAGAZINE