2015年10月2日金曜日

国際人権擁護団体のアムネスティ・インターナショナルが フランスの中学生に答える欧州難民問題

欧州共同体に今年はすでに50万人の移民・難民が入ってきている。国際難民局は年末までに70万人に達するだろうとみている。欧州共同体は16万人の難民をそれぞれ分担して受け入れることが交渉が合意したばかりだ。今後は難民をフランスは3万人受け入れるとバルツ首相が9月24日に発表した。来年2016年はさらに増大すると考えられる。ヨーロッパの入り口の国境には多くの難民で溢れているがどのように受け入れるのか?ラジオ・フランス・アンフォの少年ジャーナリストの質問に人権擁護団体のアムネスティ・インターナショナルから来たルイズさんが答えた放送記事が、9月1日のテーマとして放映された。(パリ=飛田正夫 2015/10/02 17:05日本標準時

ラジオ放送に参加したのは、ローランさんとアルマスさんと、アミーさんの3人でともに11歳のパリの中学生。欧州共同体はどのようにして難民を受け入れるのか? 
三人の中学生はこの問題に多くの質問をした。答えたのは国際人権擁護団体のアムネスティ・インターナショナルから来たルイズ・カーさんだ。

http://www.franceinfo.fr/player/resource/734333-1661497
(リンク可能期間は 26/06/2018まで。)

-ロレーヌ どうして船は遭難したのか。それは多かったのか?
-ルイズ まず知らなければならないのは、この船に乗船した人というのは、戦争や暴力から逃げてきた人だということだ。別の選択がなかった。彼等は安全に来るためのパスポートも持ってないので、パッスーと呼ばれる違法な渡し屋に頼らなければならなかった。パッスーの唯一の関心は金を儲けることで、多くの人が重なりあって質の悪い船に乗ったので、しばしば沈没した。
-アミー 多くの子供の難民が死んだのか?
-司会 勿論だ。タイラン少年の写真を思い浮かべる。
-ルイズ 国連(ONU)では、船にのった難民の18%が子供であると見ている。たくさんの子供がこの道程で死んだ。それは彼等が家族で戦争や暴力を回避するために逃げたからだ。
-司会 何人が海で死んだのかはわからないのでは?
-ルイズ 死んだ人や行方不明になった人は死体が見つかってないので、それが子供か大人かは正確にはわかってない。18%というのはこの道程で死んだ子供の数です。
-彼等はヨーロッパにきて喜んでいるのかそれとも失望しているのか?
-司会 これは質問の大事なところだ。
-ルイズ そうです。辿り着いた人は様々な感情が入り交ざっていて、安心し、先ずはここにいたいという感情があるが、家とか近親者を総て捨てて来ているので、他の選択がなかったために悲しんでいもいる。安全と安定を求めているが、はたしてそれが得られるのかと、彼等は受け入れ国に対し疑いを抱いている。そのために、何があってもよく受け入れよく保護しなければならない。
-司会 彼等のヨーロッパ観は理想化されたものではないのか?
-彼等は尊厳ある位置で受け入れられたいと希望しているが、彼等の遭遇するものはしばしばそういうものではない。とくに、今ギリシャに到着した人たちがそうである。
-ロレーヌ 受け入れられなかった人々は、国に連れ返すのか?それとも、船を海上に放って置くのか?
-ルイズ 各国は海に置かれた人を救助する義務がある。人が海で救助を求めた時には、要望を聞いて考慮しなければならない。いずれにせよ、どんな場合でも海に放って置くことはできない。また危険に晒される国に連れ帰すこともできない。
-どうして、こういう数の難民を受け入れることになったのか?
-司会 これはすでに話したが、つまり、ヨーロッパにはすでに50万人が来ていて、これから12万人をヨーロッパ各国が受け入れることになる。
-ルイズ しかしながら、まだ多くの難民がヨーロッパに来てなくて、今は一部の難民でしかない。
-どんなふうに難民を選択するのか?仕事なのか?それとも別のものにるのか?
-選択をどうするかはまだ決まったない。アムネスティ・インターナショナルでは、新し国を気持良く感じられるように、フランス語や英語を話すことや、彼等の知り合いにすでにヨーロッパ人になっていることを上げている。
-特に子供や女性を受け入れるのか?
-ルイズ ヨーロッパが決めたのは、家族は一緒にいるべきだということである。(-司会 子供と母親と父親を分けないということだ)しかし、後から来る家族の呼び寄せに関してはどうするかはまだ決まってない。
-ロレーヌ 大多数の人々は難民を受け入れているのか?受け入れてないのか?
-ハンガリーで見たと思うが、人々は国境で止められていて、ハンガリーはこれらの人々を追い帰そうとしている。しかし、我々アムネスティ・インターナショナルでは、これらの人々に連帯行動して、未来の家庭に受け入れをしたり服を提供したり、寄付を行たりして、一般市民にはこれらの人々が戦争と暴力から逃げてきた人々であるという認識を持ってもらっている。
-司会 やり方として、人々は、国家よりもより早くより遠くへ行っているということか。
-ルイズ もちろんです!
-司会 つねに!
-アミー もしすべての国が多くの難民を受け入れるのならば、全員がすべて受け入れられる事になるのか?
-ルイズ 今のところは、80%の難民というのは非常に貧しい国で受け入れている。富んだ国はより多くの方法を持っていて、より多くの難民を受け入れようとしている。また安全に受け入れるためにビザを発行しパスポート授与を出して、安全な国へ行くことが可能なようにしている。
-司会 例えばフランスがそうだ。
-ルイズ フランスはより多くのビザを出してより多くを受け入れている。
-みんなフランスに行きたいと思っているんか?それともほかの国か?
-それぞれの難民にはそれぞれ独自の事情があって、選択は各自でする。それは難民はどこの国がよりよく同化できるかを知っているからだ。
-司会 多くの難民にとってフランスは最終目的地ではなく通過国のように思われるが?
-たしかに、フランス語を話せる人はフランスに行こうとするが、しかし受け入れ状態で、フランスに来るとフランスは非常に難しいことを知る。多くの難民は道路に寝ている。フランスは通過地である。もし、初めに良い受け入れがあるならばおそらくは、フランスにいることになるかもしれない。彼らは安全と安定を望んでいるからだ。
-アルマス いつか彼等の国に帰ることになるのか?
-ルイズ 難民は自分の国、自分の家や家族の元に帰ることはある。しかし多くの場合はそれは不可能だ。それは長年に渡って生活を築いてきた所、ヨーロッパは、貧しさよりも良い所であるからだ。ここで暮らしを立てるその可能性の方策を彼等に与えるのが私たちの責任でもあるが、しかし20年経過した後では、フランスにとてもよく同化して彼等はもう帰りたいとは全然思わないであろう。しかし、難民にはそれぞれに独自のいきさつがあって一概にはいえないが。(終わり)

バルツ首相は3万人を超えない線で難民をフランスに受け入れると9月24日のテレビ番組「言葉と行動」出演で発言している。現在ハンガリーやオーストリアの国境には難民があふれている。欧州共同体で今後12万人を受け入れるために国境にオット・スポット(hot spots)を置いて難民支援の確認査定をしここで受入数を調整することになった。これに欧州共同体は1500億円を、フランスは150億円以上を援助する。