2016年2月5日金曜日

テレビ出演で嘘が暴露されたサルコジは 仏国民の指摘に心の動揺を隠せなかった

(パリ=飛田正夫2016/02/05 12:37日本標準時)2月4日夜21時から23時30分に渡ってサルコジ前大統領はフランス国営放送テレビA2の番組「言葉と行為」(Des Paroles et des Actes)に出演した。スタジオには大勢の人が参加し、その代表者4人が質問を出した。司会者は同局テレビのダビッド・プジャダスで政治担当のクリック・サンクレールさんとフランソワ・アングレ氏も参加し質問をした。思ったよりA2の応対は、本人が悪いのだが、サルコジの政治に対し厳しかったように思われる。フランス人を前にその信用ならぬ嘘が国民に多少なりとも批判されて気を落としたのかは知らないが、元気が無く疲れているようだとのインターネットでの声が紹介されると、かなりショックだったらしく表情を硬くし、流石のサルコジもうなだれてしまって心の動揺を隠せなかったようだ。しかし番組の最後の方で、最近よくテレビ出演する世論調査係りの二人が今回のサルコジのテレビ出演を見聞きした後でのフランス人の印象だとしてその総括をしてみせた。どことなく胡散臭さが感じられた。今回のテレビ視聴者の印象統計なども発表してみせている。サルコジが正当化するのに持ち出した様々な数字が、誤魔化しが多かったことを指摘するのはよいが、それはこの世論調査会社が番組の最後で話したことなのであって、サルコジの用いた数字が誤ていると暴露したことを視聴者が知った後で感じた数字ではないところが間が抜けていて可笑しかった。「この番組を見て、サルコジの意見に納得した者は36%で、納得できなかった者は63%である」と世論調査会社は発表したからだ。

サルコジはこの番組の物理的設定をつまりスタジオ操作をよく呑み込んでいるのか、やたらデバ(論争)ではなくて対話に持ち込もうと、質問者を引き入れた話し方をしようとしたようだが、あまりにも朝昼晩と嘘をついている為にか、唇が爛れ曲がってうまく話せなかったのだろう。


2002年の大統領選挙ではサルコジとセゴレーヌ・ロワイヤルが対決した。大統領選のデバは激戦であった。その最後に今はすっかり姿を見せなくなってしまったジャーナリストが突然に登場してきて、今のデバでは誤りがあってフラマンヴィルのスーパーフェニックスは第4世代の原発基地ではないとコメントしたのであった。サルコジが正しいのだと評価をしたのである。これは殆どのデバを聞き入っていたフランスの投票者は聞いているはずである。

今回のプジャダス司会した、サルコジ出演番組にはそれと同じような落とし穴が見えるのである。テレビ視聴者への印象操作とは実は、この最後の統計数字や司会者の意見に大きく左右されているということである。そしてそれはその時点では本当の最終結果はわからずに、その後の実際の投票結果に於いて全く異なる回答が出される数字だということだ。

その意味で二人の世論調査会社の調査員の意見は、非常にサルコジと対話する市民並びにそれをテレビで見る視聴者の印象操作に危険なほど重要な役割があると言える。