2016年1月10日日曜日

ケルンの難民反対集会後 メルケル独首相は難民問題に硬化発言

(パリ=飛田正夫2016/01/10 15:29日本標準時)1月9日、ドイツ第4の都市ケルンで難民受け入れ反対のイスラム嫌い運動のペギダ(Pegida)1700人などが大集会し、ビンや爆竹が2000人の警察や起動隊に投げられた。夕刻17時前には機動隊が催涙弾や放水車で介入し集会を解散させた。国内分裂の新たな緊張が高まっている。この暴動化した集会の原因は、12月31日の新年を迎えるサンシルベストルの夜に性的暴行があり、これに抗議したものであった。婦女暴行に抗議するケルンでの抗議集会の直後に、メルケル独首相は違法な難民の国外退去を更に強化する発言をしなければならなくなった。

12月31日の夜の性的暴行は現在までの告訴数は379件だが、その内の40%の150人ほどが性的暴行を受けたと訴えている。容疑者には、「不法滞在移民」や「難民許可請求者」だけでなく、何もしないで傍観していたケルン警察が事件を更に焚きつけたとされて批判されている。

メルケル首相は年末の演説では、2015年の100万人の難民を受け入れは、ドイツのチャンスであると語っていたが、難民反対の暴動や論議が高まる社会不安を前に、様子が異なってきていると、ヌーベル・オブセルヴァトワー誌は指摘している。

メルケル首相は、現在の難民に関する法律では十分ではなく、修正の必要がある。もし難民が、犯罪を犯した場合にはたとえ執行猶予付きの囚人であっても、滞在許可が停止されて国外追放処分になると記者会見で宣言した。現在のドイツ法では難民許可申請者が、3年以上の禁固刑を受けた場合には排斥処分となっている。しかしそれは、この難民が自国に帰っても健康や身体に脅威がないという条件付きであった。しかし難民許可申請の権利を消失したのであるから、犯罪者の場合には更に機械的に処理すべきだとキリスト教精神を基調とするメルケル首相のキリスト教民主同盟(CDU)では決議している。今後は連立内閣を構成する社会民主党(SPD)との論議が必要になっている。

【参考記事】
http://www.lemonde.fr/europe/article/2016/01/07/la-police-de-cologne-reconnait-avoir-ete-depassee-lors-des-agressions-du-nouvel-an_4843553_3214.html
http://tempsreel.nouvelobs.com/monde/20160109.OBS2511/allemagne-nouvelles-tensions-a-cologne-angela-merkel-durcit-son-discours-sur-les-refugies.html
http://www.zeit.de/politik/deutschland/2016-01/koeln-cdu-basis-angela-merkel
http://www.lemonde.fr/europe/article/2016/01/09/agressions-a-cologne-angela-merkel-se-prononce-pour-l-expulsion-des-refugies-condamnes_4844482_3214.html
http://www.bbc.com/news/world-europe-35271171
http://www.lesechos.fr/monde/europe/021608164298-violences-de-cologne-merkel-pour-lexpulsion-des-refugies-condamnes-meme-avec-sursis-1191000.php