2016年7月2日土曜日

メディア王の支援するゴべ法相に裏切られ B・ジョンソンは英国首相候補を断念

(パリ=飛田正夫7/2/2016 9:10:40 日本時間)6月23日の英国国民投票前まで元ロンドン市長として欧州離脱派の先頭に立っていたボリス・ジョンソン氏は、キャメロン英首相の後の首相候補を6月30日に断念し降りたことは余りの急変で意外であったが、その理由は、ジョンソン氏の忠実な片腕であったミカエル・ゴベ法相が5カ月間に渡りジョンソン氏と共に欧州離脱派として共戦してきたのだが、ゴべ法相を裏切って首相候補に加わる事を30日朝に宣言したからだ。これがジョンソン氏の野望を砕いたのだと見られている。ミカエル・ゴベ法相は2月にはキャメロン英首相を裏切ってジョンソン氏側に就いた人でもあった。ゴべ法相の妻サラ・ビィネさんは新聞王ルパート・マードックの持つディリー・メール紙のジャーナリストで、夫の支援をマードックに取り付けジョンソンへの疑惑を作り出したとされる。さらには右派の中心的メディアであるダイリー・メール(The Daily Mail)やサン(The Sun)紙やタイムズ(The Times)紙、サンディ・タイムズ(Sunday Times)などいずれも新聞王マードック配下のメディアがゴべ法相を支持し、ジョンソン氏への支持が拒絶されつつあることに気付いたからで、ジョンソン氏自身が身動きできなくなる危険を感じたからだという。リベラション紙によるとジョンソン氏は欧州離脱を進めた先頭に立って英国を離脱させた人だが、暗雲の混沌の中に沈みゆく英国を首相としてどうするのかのプランを何も持っていなかったので、身を引いたというのだ。


ジョンソン氏は自分にはリーダーシップは取れないと30日に宣言した背景にメディアの支配が圧し掛かっていると見られる。ジョンソン氏にとって更なる第二の競争相手にテレサ・マイ内相が出て来たことは、それにしても無責任な気もしないではないが、同氏の決断を更に進めたともいえる。(文字数 ;813)

【参考記事】
http://www.liberation.fr/planete/2016/06/30/apres-le-brexit-le-boxit-boris-johnson-jette-l-eponge_1463152
http://www.lemonde.fr/referendum-sur-le-brexit/article/2016/07/01/a-londres-l-abandon-surprise-de-boris-johnson-accentue-le-chaos-politique_4961676_4872498.html
http://www.courrierinternational.com/article/brexit-la-volte-face-extraordinaire-de-boris-johnson
http://www.lepoint.fr/europe/brexit-boris-johnson-l-ahurissante-chronique-28-06-2016-2050303_2626.php