2016年7月24日日曜日

ラガルド国際通貨基金(IMF)総裁の仏裁判所出廷が決まる 

(パリ=飛田正夫)フランスの共和国裁判所破棄院はクリスチャン・ラガルド国際通貨基金(IMF)総裁を厳しくフランスの裁判所が裁くことを7月22日に決定した。これはラガルド氏がIMF総裁に就任する以前のサルコジ大統領時代に経済相(2007-2011)を担当していた時のタピ事件に関してである。当時国立だったクレディ・リヨネ銀行とスポーツ用品の世界的なメーカーのアディダスとの売買で、損害を被ったとしてベルナール・タピ氏が国を相手取って争議を起こしていた。これが2008年の私設裁判で、4億400万ユーロ(約600億円)をタピがフランス国から得た事件だ。この私設仲裁裁判を組織的に計画しタピに莫大な大金を得させた中心的役割にラガルド氏の介入があったというもの。


勿論、当時のパトロンはサルコジでこれほどの大金を国の税金から払うことになるので、この組織的に計画された私設裁判を当時の大統領が知らないわけがないと見られている。いずれサルコジ氏もこの裁判での証人として出廷することなるが日取りは今の所不明だ。サルコジ氏は今回のラガルド総裁の裁判が決定したことで、オランド政権の力が裏に働いていると批判している。裏返せばこの見解が出るのは、サルコジは大統領なら司法に口出すことが当然だと考えているからだともいえる。

この事件はタピに有利に判決が出るように、一般の経費の安い裁判所を避けて、3人の判事の中の中心的判事がタピの知り合いで法廷を組織的に画策できる私設裁判を選んだものと見られている。そのタピ裁判のやり直しと賠償金の国への返済がすでにパリ上告裁判所からタピに命令されていて、この裁判の決定を破棄院が重ねて承認している。今回の裁判が問題にしているのは、当時の経済相の立場でのラガルド氏のタピを有利にした私設裁判の運営と組織化での関わりで、公共資金横領や共謀罪で裁かれることだ。2007年10月に一般の裁判所での裁判を避けさせて、なぜ金もかかる私設裁判所を受け入れたのかを問題にしている。それはその一年前にベルナール・タピに有利に決まった判決に対して、これを破棄院が無効にする判断を下したからだと考えられる。

このタピ事件当時には、エリゼ大統領官邸のサルコジとタピは何度も会合を繰り返していることが確認されていて、サルコジ政府の介入が裏にあったとされる国家事件の性格がある。

ラガルドは国際通貨基金(IMF)の責任者として第二期目を開始したばかりだが、裁判の執行から保護されていているので、裁判所は何も手出しは出来ないとする同氏の弁護士のような見解もある。しかしすでにこの私設裁判事件では組織的共謀罪と公共資金横領罪で、ベルナール・タピとその弁護士モーリス・ラントウルンヌ、私設裁判法廷の三人の判事の内の中心判事がタピと以前から知り合いで、有利に判定したとされるピエール・エストップ元ベルサイユ裁判所総長、クリスチャン・ラガルド経済相官房室長のステファン・リチャー現オレンジ通信社長ら、6人がすでに起訴されている。(文字数 ;1267) (投稿パリ時間⇨2016年7月24日午前3時50分 / 日本時間⇨2016年7月24日午前10時50分)

【参考記事】
http://www.ladepeche.fr/article/2016/07/23/2389716-renvoi-en-proces-de-christine-lagarde.html

http://www.lemonde.fr/societe/article/2016/07/23/arbitrage-tapie-christine-lagarde-est-renvoyee-devant-la-cour-de-justice-de-la-republique_4973735_3224.html
http://www.la-croix.com/France/Arbitrage-Tapie-Christine-Lagarde-devra-affronter-un-proces-pour-negligence-2016-07-23-1300777506

http://www.20minutes.fr/societe/1897043-20160722-affaire-tapie-justice-reproche-christine-lagarde
http://www.france24.com/fr/20160722-fmi-christine-lagarde-renvoyee-justice-arbitrage-tapie-adidas-credit-lyonnais