2012年3月14日水曜日

サルコジ講演でのシュンゲン協定批判は、仏大統領選挙の右派票獲得の目玉



11日、サルコジ仏大統領はパリ北部近郊のビルパント講演で欧州域内での自由な労働者や旅行者の往来をうたったシュンゲン協定を加盟国(欧州22カ国とアイスランド・ノルウェー・スイス・リヒテンシュタイン)に対して移民を取り上げて問題にして批判した。サルコジは不法移民の自由な往来を国境で共同管理すべきで、これを守らない国に制裁を加え排除すべきだとしている。左派系の週刊誌ヌーベル・オブセルバトワールfr.などが報道した。

いつもながらの右派タカ派の主張を打ち上げることで大統領選挙での人気のない印象を取り払い、あと40日と迫った仏大統領選挙で、パレナージュ(大統領選挙出馬権獲得に500の市長の支持が必要)獲得が困難になってきた極右派の国民戦線(FN)マリーヌ・ル・ペンの票をサルコジは獲得しようとしている。

サルコジはフランスがシュンゲンの被害にあっていると見立てているようで、もしあと12ヶ月後に於いて改善がないならばフランスはシュンゲン協定への参加を停止すると脅かしている。

2011年初めにはチュニジア革命で国を去った移民がイタリアのランペドーザ島にやってきた。イタリアは彼らに欧州諸国を回遊するパスポートを発行してフランスを怒らせた。

シュンゲン協定の権利が彼らに生ずるからだ。フランスは地中海側のイタリア国境から入ってくる列車を止めて内務省が特殊警察を派遣して移民を違法者として取り締まったことが欧州のシュンゲン協定を踏みにじったとして批判された。チュニジアやリビアは革命の最中で国に帰還させることはできず他国への受け入れを打診した。

この11日のサルコジのシュンゲン批判は、欧州諸国の協定の上に成り立ったものを一カ国だけで批判したもので、これの本当の狙いは大統領選挙での右派票獲得の目玉としてであったと見るべきだ。