2016年4月26日火曜日

パリ共和国広場で唾と罵倒を浴びた哲学者フィンケルクロー 民主主義を装う全体主義 「哀れな奴」と批判

今から10日程前にアカデミー会員の哲学者アラン・フィンケルクロー(Alain Finkielkraut)がパリの共和国広場に姿を現して、夜間を明かして論議しようという3月31日以来の毎夜の行事になった「立て夜」(Nuit debout)の催しに出向き、すぐさま「出て行け」「ファシスト」「帰れ」「ゴミ」などと揶揄されて無念な表情で会場を退場し顔に唾を掛けられた場面は、フランスの大ニュースになっていたが、その真相が今一つわからなくなっていた。テレビ民法(BFMTV)のトップキャスターであるルース・エルクリエフ(Ruth Elkrief)さんが、同氏を25日夜にテレビに招待してインタビューした。

http://www.bfmtv.com/mediaplayer/video/alain-finkielkraut-face-a-ruth-elkrief-801895.html

http://www.bfmtv.com/societe/finkielkraut-sur-nuit-debout-a-une-echelle-minuscule-c-est-la-reinvention-du-totalitarisme-969639.html
1968年の学生運動の時はみんなが話したのだと比較して話す新アカデミー会員フィンケルクロー氏の話を紹介する。同時にパリジィエン紙や20ミニュットなどの映像画面
http://www.leparisien.fr/paris-75/paris-75011/video-nuit-debout-alain-finkielkraut-pris-a-partie-place-de-la-republique-16-04-2016-5721601.php
http://www.20minutes.fr/societe/1828071-20160417-video-nuitdebout-alain-finkielkraut-hue-injurie-place-republique

も見逃せない。ここではフィンケルクロー氏が喚きながら「罵倒されたのだから、私は答えることができる」「哀れな奴」などと言い返している。この「哀れな奴」の罵詈雑言は哲学者に浴びせられたのではなくて、フィンケルクロー氏が放っている言葉なのだ。この「哀れな奴」(pauvre conne)という言葉は、フランスでは有名でサルコジ氏が大統領の時にブルターニュで魚師から高い所から馬鹿にされて、それにこたえてサルコジ氏が、「降りてこい」「哀れな奴」「pauvre conne」とやったので誰でも知っているのである。ル・ポワン誌のビデオでは、(01 :30/02 :58)当たりを参照。

サルコジが毎年恒例のポート・ド・ベルサイユの大展示会場での農業物産展に参加した時に、高齢者の男性に握手を断られて怒って出た言葉が«casse-toi»«pauvre conne» なのです。「立ち去れ」「哀れな奴」という意味です。これが大統領が一介の市民に放った讒言であったので大問題になったのです。


今回の4月16日夜のパリの共和国広場では、フィンケルローが「立ち去れ」«casse-toi»と市民から言われたので、それに答えて、「哀れな奴」«pauvre conne» と2度ほど言い返したのです。全く不思議なのです。そしてフィンケルローは「暴言を食らった私は、同様に答える事ができる。私は人間だから」と哲学者が弁解したわけです。そういう背景があったやり取りで、これはフランス人なら大抵の人はこの罵り合いの言葉の出所を知っていて、くすくすと笑っているのです。サルコジがここでも絡んでいるのが不思議です。


4月16日にフィンケルクロー氏は夫婦同伴でパリの共和国広場を訪れた。共和国広場に行きたかったのはそれが陰謀であったからだといいう。完全にこの催しは政治的なものであって、パリではおそらくかってなかったものであると言っている。私は政治が好きであり、私はパリにした。現場に夫婦で出かけると直ぐに野次が飛び参加者に退去を命じられた。直ぐに少数の群衆が集まってきた。機動隊員は退去すべきだといった。我々は立ち去ることにした。我々はこのような危険な攻撃的な状態の中に15分ほどいることができた。全部で20分以上は「立って」いられたとフィンケルクロー氏は語っている。その後、乱暴な一集団が追ってきて私に襲い掛かり顔に唾を吐きかけた。

次にフィンケルクロー氏はメディアが共和国広場のこの夜の集会運動を、一種のアゴラ(agora)のように扱っていることに触れた。論議は仮装であって、あらゆる反対意見は排斥されている。人々は新たに世界を再建設することを我々に話し、古い世界を構成している地上を粛清しようとしていると語った。民主主義の再構築を装いながら、その部分は小さくて、それは一種の全体主義の再来のようであると言っている。この動きには沢山の若者がいるにしても、若者の新鮮さを感じない。2015年の初めから恐ろしい事件が歴史の発展史観に穴を空けてしまった。パリの共和国広場の「立て夜」(Nuit debout)の催しは、この穴を見えなくするためなのだ。イスラム原理主義が消え去って、やって来たのはそれは支配である。今度は敵は、警察国家と繋がれた知識人の番犬に守られた、資本主義のブルジョワジーとなったのである。これらの古い認識が勝利を収めていて、これが更に哲学者を殴ったとするならば、それは全くグロテスクなことであり、そうであるならば希望のないものだ。しかしそうはならない。人民が欠席していたからだ。

ルース・エルクリエフさんが一躍有名になったのは、2012年の仏大統領選挙運動でサルコジ陣営の二重請求書を使った異常な資金運営を、ジェローム・ラブリヨウ(Jérôme Lavrilleux)氏から暴露させてからだ。後のビグマリオン事件となるこの内部告発をしたのは、当時の国民運動連合UMP(今は「共和党」)コッペ前議長の参謀室長であったジェローム・ラブリヨウ現欧州議員で、彼女がBFMTVのスタジオで暴露話しを引き出したからだ。BFMTV局は左派ではないが、彼女は花形キャスターとして同局での左派的存在になっているようだ。

アラン・フィンケルクロー(Alain Finkielkraut)氏は政治的には2002年の仏大統領選挙ではサルコジ氏を支持していた。

【参考記事】
http://www.leparisien.fr/paris-75/paris-75011/video-nuit-debout-alain-finkielkraut-pris-a-partie-place-de-la-republique-16-04-2016-5721601.php

http://www.bfmtv.com/societe/finkielkraut-sur-nuit-debout-a-une-echelle-minuscule-c-est-la-reinvention-du-totalitarisme-969639.html

http://www.lepoint.fr/societe/nuit-debout-alain-finkielkraut-agresse-place-de-la-republique-17-04-2016-2032846_23.php
http://www.metronews.fr/info/video-alain-finkielkraut-a-nuit-debout-facho-contre-pauvre-conne/mpdq!3rOt9YfLMfCBo/
http://www.leparisien.fr/paris-75/paris-75011/video-nuit-debout-alain-finkielkraut-pris-a-partie-place-de-la-republique-16-04-2016-5721601.php
http://www.liberation.fr/france/2016/04/17/nuit-debout-alain-finkielkraut-chasse-de-la-place-de-la-republique_1446766
http://www.20minutes.fr/societe/1828071-20160417-video-nuitdebout-alain-finkielkraut-hue-injurie-place-republique