2016年9月8日木曜日

独裁50年のボンゴ称賛のサルコジを 在仏ガボン人が抗議

ガボンのアリ・ボンゴは8月31日に大統領選挙の再選勝利を宣言したが、対抗候補者のジャン・ピング氏はこれは不正選挙だと訴えている。フランスのフランソワ・フィヨン元首相(共和党LC)は驚くべきことだが、この論争に国営ラジオ・フランス・アンフォで9月2日に意見を提出し、ボンゴはこの選挙に勝利していないと意見を述べた。ボルドー市長のアラン・ジュッペ仏元首相(UMP)も、この選挙に疑問を持ち欧州審議会に調査を要請した。2009年、アリ・ボンゴは父親のオマー・ボンゴが死亡し、その数週間後に行われた承認選挙で大統領に就任した。サルコジはそれを一早く承認している。ボンゴ一家の50年に渡る親子の独裁政治をサルコジが称賛していて、ボンゴにレジョンドオヌール勲章を贈っていたが、今回の事件では、「共和党」(LC)(前の国民運動連合UMP)党首のニコラ・サルコジは無言でいる。在フランスのガボン人たちが、このサルコジの態度を批判して先週からトロカデロ広場などで集会し抗議している。ガボンでは既に、ボンゴ派とピング派の衝突で50人から100人が死亡したといわれ、騒動が続くていたが、昨日あたりから静穏を取り戻したようだ。しかしいつ暴動が再起するかわからない緊張があるという。

ガボンの憲法審議会は明日8日に大統領選挙の得票算出のやり直しを命じることになりそうだ。ボンゴとピングとの差は5594票であったが、投票所によっては、ボンゴ勢力下にあるオートオゴウェ州などでは、白紙投票や無効や欠席数など最終開票結果の異常が非常に多いことが6日に欧州監視団体から指摘された。

サルコジの影響の強い仏国営メディアではこの問題を濁らせてガボンとのフランス政府の付き合いはサルコジだけでなくドゴール、ポンピドー、ジスカール、ミッテラン、シラクもオランドもサルコと同様にやって来たことだと、皆同様だと印象づけして報道されている。しかし実際はことなるのである。ピング氏はオランド仏大統領に対し選挙結果の正当な開票を求め、フランスの介入を要請している。オランドは歴代のフランスの大統領としては珍しく在任中にガボンを訪問しない大統領である。ガボンに興味があるのは、この国の森林資源が保護されて世界環境会議Cop21に貢献してもらうことぐらいだとリベラション紙などは言っている。

今度の事件の進展から次第に真実を隠すことは出来なくなってくるだろう。

ガボンには石油があってトータルが入っているし、木材やマンガン鉱、ウラニュウムなどの鉱物資源が豊富で有名なサルコジの大統領選挙当選時に豪華ジェット機とヨットのマルタ島旅行をプレゼントした友人ヴァンサン・ボロレ・グループがガボンに参入している。しかしそれへの関心も次第にフランス側では薄れているという。