2016年12月11日日曜日

タピ事件で IMF総裁ラガルドを裁く裁判 来週からフランスで開始

(パリ=飛田正夫 日本時間;‎11/‎12/‎2016‎‎-11:20:42)来週12日月曜日からサルコジ時代の経済相 (2007-2011)であったクリスチャン・ラガルド現国際通貨基金(IMF)総裁を裁く裁判がフランス共和国の裁判所で開始される。これは仏実業家のベルナール・タピと当時国立銀行だったクレディ・リヨネ銀行との係争問題で同経済相がタピに有利になる簡易私設裁判を組織的に計画してタピに裁判で勝たせて、タピへの賠償金40400万ユーロ(約485億円)を国の税金で弁償させたことが問題になっていた。1993年2月にタピ所有のスポーツ用品で有名なアディダス社を31550万ユーロ(約379億円)で買って、これを1994年に70100万ユーロ(約843億円)で転売した件で、ベルナール・タピは騙されたとしてリヨネ銀行を訴え倍賞金を求めていた。この係争をラガルド経済相や、タピに近い私設簡易裁判官を担当した三人の一人ピエール・エストウプ裁判官らが組織的に計画した公金横領の共謀罪で起訴された。通信電話機器フランステレコム社長で当時ラガルド経済相の官房室長(2007-2009)のステファン・リチャー氏や、タピとその弁護士モーリス・ラントゥルヌ氏とエストウプ裁判官らもその関係が調べられていた。


2015年にはタピは公共財産汚職の罪で起訴されている。また2015年には、2008年のタッピを利益させた簡易私設裁判判定をパリ上告裁判所が無効にして、フランス国がタピに賠償金として与えた利子付き40400万ユーロ(約485億円)を、国に返済させる判決を出した。
2015年12月17日にクリスチャン・ラガルド国際通貨基金(IMF)総裁は仏経済相時代にこのタピの簡易私設裁判判定を組織し実行するに及んで、そこに権力関与した容疑で仏裁判所で裁かれることが決まった。7月の22日にフランス破棄院はクリスチャン・ラガルド国際通貨基金(IMF)総裁の上告審査を求めたがこれを棄却し、仏共和国裁判所で公金横領罪で裁くことになっていた。

485億円という多額の賠償金をタピに与えた事件で、それを組織した中枢に経済相がいたと見られている。当然のことそれほどの多額の国の税金をタピに支払ったことは経済相を管轄する立場にあるサルコジ前大統領が知らなかったわけがない。この事件は広がりが大きくなる可能性がある。しかし大きな権力をバックにした裁判だけにこれを隠すメディアや政治権力の存在も予測される。

【参考記事】
http://www.tdg.ch/economie/proces-christine-lagarde-commence-lundi/story/15996675
http://www.lemonde.fr/economie/article/2016/12/10/proces-lagarde-le-fmi-tente-de-donner-le-change_5046793_3234.html
http://www.romandie.com/news/Proces-Lagarde-les-grandes-dates-de-larbitrage-Tapie/760447.rom
http://www.romandie.com/news/Proces-Lagarde-les-grandes-dates-de-larbitrage-Tapie/760447.rom