現在、フランス社会党本部では2012年次期大統領選挙候補者の指名方式と改革を討議している。これを担当する責任者オリビエ・フェラン氏によると「根本的に民主的」だと自負できるものとしている。フランス社会党内からの複数の有力候補者に対して右派系新聞メディアはそれらの候補者を喧伝したり非難したりすることで更に社会党内部での支持層が分裂することに力を添えることになっているようだ。与党(UMP)にあっては社会党の支持者層を一つに結集させないで分断しておくという作戦だ。(2010/06/03)
民主的な選別に固執する社会党にとっては複数の候補者を前提とした大統領候補の選択は大前提で当然のものとされている。しかし、これが逆に悪作用しているようだ。格好の社会党内部の不安定化に隙を与える口実となってドミニック・ストラスカン(IMF国際通貨基金総裁でフランス元社会党経済相)やロラン・ファビウス社会党元首相、セゴレーヌ・ロワイヤル前大統領候補、マルチン・オブリ社会党書記長(前雇用相・現リール市長)を適度に上げ下げして社会党が一つの方向に結集することを切り崩す報道が右派メディアで特に強くなってきているようだ。
メディアによっては、ストラスカン総裁を高く紹介してみせる一方でオブリ社会党書記長のUMPによる非難に油を注ぐような報道姿勢が目立ってきている。
社会党の誰を候補にどの時期で選ぶのかが重要な問題となっているが、論議を重ねたうえで2011年の10月に第一回予選投票をして12月頃に最終的に決めるというのでは遅すぎはしないのか。