パリの東部に位置するオペラ・バスチィーユ劇場の正面階段を160人ほどの「サンパピエ労働者」(移民不法滞在労働者)が5月27日からフランス滞在と労働の正規化を要求して占拠していたが、6月3日早朝、機動隊の介入で立ち退きが強行された。サンパピエの人たちは自分達を単にサンパピエ(移民不法滞在者)と呼ばれることを拒否している。彼らはフランスの労働者として仕事をしている移民であり、自分たちを指して「サンパピエ労働者」(移民不法滞在労働者)と呼んで欲しいと宣言している。税金も納めているが労働許可が無いのだという。(2010/06/04)
比較的静粛な中に退去が行われ不審尋問を受けたものはないという情報もある。一方で、警察によって30人ほどが尋問をうけたという労働総同盟(CGT)の代表の発言もつたえられている。8時頃に現場を訪れた(AFP フランス通信)の記者は事は終了していて静かであったという。退去には催涙ガスが使われ、軽い負傷をした者もある。退去はすばやく行われたのだという目撃者の発言だ。
一旦は姿を消したこのサンパピエ労働者たちは夕刻に再びオペラ・バスチィーユ劇場前に姿を現したとラジオニュース・フランス・アンフォなどが報道。「パリ市や劇場側は機動隊の介入要請をしなかった」と左派系知識人や青年学生層に多く読者にもつリベラション紙は書いている。
フランスの労働法では労働許可証のない外国人雇用は企業側が膨大な罰金を払い、責任者は処罰されることになっている。しかし実際には企業家が問題にされることはほとんどない現状だ。
昨年からこのような雇用下に置かれた「サンパピエ労働者」が自分達の労働の権利を認めて欲しいとストライキを企業や仕事場で起こしてそれが話題になってきた。特に不法労働の多いセクターはレストランなどの飲食業で、土木・建設業も多い。製造業では洋服などをフランスのメーカー用に製造する地下室での労働者もいることが報じられてきている。
現在パリにはおよそ3万4千人以上の外国人不法労働滞在者がいると警視庁は見ているという。フランス全土ではこれまでその数は20万から40万だといわれてきた。「サンパピエ労働者」(移民不法滞在労働者)の労働許可証取得を支援する労働組合や市民団体の組織の他に左派系のアルレットラギエ(労働者の闘い)やオリビエブザンスノ反資本主義新党(NPA)などの政党も彼等を支持している。
(参考記事)
バスチィーユのサンパピエは退去(リベラション紙)
http://www.liberation.fr/societe/0101639255-les-sans-papiers-de-la-bastille-ont-ete-evacues
バスチィーユのサンパピエを警察が退去(アルザス紙)
http://www.lalsace.fr/fr/permalien/article/3251183/Bastille-Des-travailleurs-sans-papiers-deloges-p.html
サンパピエがオペラ・バスチィーユ劇場に再び出現、居座り決行(クーリエ・ピカルディー紙 )
http://www.courrier-picard.fr/courrier/Actualites/France/Les-sans-papiers-de-nouveau-devant-l-Opera-Bastille-decident-de-rester