2010年12月6日月曜日

バイル議長はサルコジ大統領との共謀を非難 左派「社会-民主」陣営への対話を強調

インターネット日曜新聞(JDD.fr)6月4日はフランスのフランソワ・バイル民主運動(モデム)議長が同党の会員に書いたという、「大統領の周辺は当惑させられるか疲労させられるものだ」という手紙を入手したとして、これをスクープにしている。バイル議長はもしフランスがこの年金期間延長法案の壁を上げれば、ギリシャ、スペイン、ポルトガルのように急激に定年人口が10%から15%減少するが自分はこのような卑劣なやり方の共謀はできないし受け入れられないといっている。(2010/06/05)


バイル議長によると、もっと長く働けという政府の主張は酷であるが、60歳という年齢が問題なのではなくて、それには条件があり、現在のところ存在してないが、疲労や苦痛度の不平等を考慮した年金特別扱い職種を考慮して法律が組み込まれる必要があるのだという。いずれにしても、定年を65歳に引き上げることにはバイル議長は反対するという。
これは複数の会員に宛てたものである。長い手紙である。そのなかで、4月に私的にニコラ・サルコジ氏がバイル議長を招待した時のことだとして書いている。


民主主義であるから意見の対立は当然のことだが、現在は大きな問題を抱えて危険な時でもあり、受け入れられなくとも実行されることを願い今後も自分の考えをサルコジ氏に率直に提示してゆく。その意味で、今はその時期ではないがとしながらも、左派「社会-民主」陣営へ手を差し伸べるかもしれないと宣言した。そしてバイル議長は、「対話のない、思想の対立のない民主主義というのはない」といっている。 

サルコジ大統領と会見した時には政府は3つの議事を提出していた。それは、ブルカであり、定年問題と国土領土の問題であった。
  
ブルカ問題は与党政府が地方圏議会選挙のあった3月14日と21日を狙ったもので、これで多くのフランス人が特に女性が動揺したとしている。


バイル議長は、政府の提示した(フランスの)「公共の場所で顔を隠すいかなる権利もない」というのは理性的かもしれないという。もしその議案が変更されないならば私はそれに投票しよう。とし、それが受け入れられるものなら賛成するという。そうでなければ反対だと考えている。

定年問題では、バイル議長は政府収入の新財政源となる方法を考えなければならない。特に出費の負担を支えられるように定年人口よりも就業者人口を増やすようフランスでの雇用をもっと増やさなければならない。そのために新製品の開発とフランスが失くした製品を取り戻さなければならない。これをみんなは話さないが、しかしこれが定年問題の唯一の鍵であり、購買力を上げる鍵である、という。


外国で仕事をしていた人とか、子育てで休職していた婦人が再び仕事を始めるとか、また長期失業のために年金がもらえない場合がある。個々人の職業・生活環境の相異で年金が受けられるような柔軟な思考で年金改革は対応すべきだとしている。


バイル議長は、もしフランスがこの年金期間延長法案の壁を上げれば、ギリシャ、スペイン、ポルトガルのように急激に定年人口が10%から15%減少するが自分はこのような卑劣なやり方の共謀はできないし受け入れられないといっている。

最後にバイル議長は、個人的にサルコジ大統領と不和だからといって自分がニコラ・サルコジ氏が大統領になった初めから政治的敗走の危険を看視してきた事とは何ら関係が無いとして、「彼が危機の直接的な責任者ではないことは知っているが、しかし、たとえサルコジ氏が擁護していた資本主義の危機であったとしても、私は彼に彼の責任でないものをなすりつける事はしない」と、バイル議長一流の論考で書いている。この人は頭がよく勤勉で誠実な人柄であり過ぎるようだ。ピレネー山脈のバスク地方のポー出身である同郷者アンリーⅣ世を慕っているという。

公共テレビの局長をサルコジ大統領が直接に指名することは、メディアの独立にとってよくないとバイル議長は指摘している。


経理優先の、ビジョンのない教育方策にも反対している。


サルコジ大統領が与党国民運動連合(UMP)の党首であるかのように振舞ってきたことは、権力の分立を踏みにじっていると批判する。


ヨーロッパ議会選挙前に出版されたバイル議長の著作「権力の乱用」は、フランス共和国の民主主義の基本的原理とモデルを診断し擁護するためのものであるとしている。二党政治体制には今の時点では時が熟してないとして反対の立場であるという。


フランスの民主主義の中心に不可欠なのは多党制でこれが公共性の一つの柱である。多党主義が必要な根拠はそれが「左-右」の二大政党制の単純化を防ぐからである。


バイル議長は公共生活の地平における両極の戦争、権力の一元化過程というものを拒否している。社会的正義と経済の革新と創造という、自由が必要だという。教育は総ての人間進歩の基礎になると考えている。現代の選挙の弱点は分裂と服従にあるとみておりバイル議長はこれを覆(くつがえす)戦いをしてゆくとしている。




(参考記事)
バイル、ニコラ・サルコジとは共謀するな(日曜新聞JDD.fr)http://www.lejdd.fr/Politique/Actualite/Bayrou-Pas-de-connivence-avec-Nicolas-Sarkozy-198120/